NECがBIGLOBEの2001年度事業計画を発表

重点を接続サービスから付加価値サービスにシフト

 2001.03.30−NEC(NECソリューションズ)は、インターネットサービス「BIGLOBE」の2001年度事業戦略を発表した。キャリア系事業者のISP(インターネットサービスプロバイダー)本格参入など事業環境が大きく変化するなかで、接続サービスを中心としたISP事業の位置付けが相対的に後退し、BIGLOBEならではの付加価値サービスを提供するASP(アプリケーションサービスプロバイダー)事業分野を一段と強化していく方針を示した。2003年3月期に会員数を1,000万人に拡大し、売り上げ1,300億円を達成する計画を立てており、そのうちの55%はASP分野からの売り上げになると予測している。

 同社の説明によると、ISP市場のノンキャリア系大手3社(@nifty、BIGLOBE、So-net)とキャリア系大手3社(OCN、ODN、DION)の実績を比べると、2000年度の会員数はノンキャリア系3社が1.3倍の伸びにとどまったのに対し、キャリア系3社は2.7倍増という成長(最も格差が大きかった7−9月期の比較)をみせているという。電話料金合算型のサービスが急伸し、ノンキャリア系各社は定額料金制への移行を余儀なくされた。これにより、「2000年度はISP事業では利益が出ないところまで追い詰められた」(鈴木泰次常務執行役員)という。

 このため、同社では接続サービスから付加価値サービスへと重点をシフトさせる計画。具体的な付加価値サービスとしては、個人向けでコンテンツ事業、広告・ポータル事業、コミュニケーション&ストレージサービス事業、携帯系サービス事業の4つ、企業向けでeソーシング事業、eマーケットプレース事業、eラーニング事業、コミュニティサイト・ポータルビジネス支援事業の4つに力を入れる。

 このうち、利益面での貢献が大きいと期待されるのが広告・ポータル事業とコミュニケーション&ストレージサービス事業だという。広告・ポータル事業では、これまでのパソコン対象のバナー広告は限界に来ているため、もっと複雑な形態の広告方法や、PDAおよび携帯電話向けの広告配信など媒体の多様化を推進する。すでに、携帯電話およびPDA向けの専用ポータルサイトをオープンしている。さらに、広告媒体としての価値を高めるため、2000年度に1日当たり507ページビューだったアクセス数を、2001年度には2,300万ページビュー、2002年度には1億ページビューに拡大させる。

 コミュニケーション&ストレージサービス事業は、ブロードバンド時代を視野に入れた個人向けの新しいサービスで、インターネット電話やビデオメール、ボイスメール、テレビ電話などの新しいコミュニケーションサービスをスタートさせる。インターネット上でのファイル交換やバックアップ、映像メディア統合などのストレージサービスも展開する予定だ。

 企業向けでは、eソーシングサービスは、いわゆるeビジネスのコンサルティングから運用までをBIGLOBEのインフラを利用して提供する一貫サービス。eマーケットプレースや企業内ポータルの構築支援も含めて、企業向け付加価値サービス分野ではオフラインで展開してきたソリューション事業部門とのシナジー効果を発揮させていきたいという。

 「すでに、2000年度からこうした案件が増えている。企業の業務システムが思ったよりもインターネットに移行していることを示している」(鈴木常務執行役員)という。

 戦略の重点はASPにシフトさせるが、現実にはASPサービスを多く利用するのはやはりISP会員であり、その意味ではISP会員の増加には引き続き積極的に取り組む必要があるとしている。

 BIGLOBEの会員数は、2000年度はISP利用者が372万人、ASP利用者が312万人で、重複を除いた純粋な会員数は510万人に達している。2002年度にはISP利用者数は1.3倍の500万人、ASP利用者数は2.6倍の800万人で、重複を除いて1,000万人の会員獲得を目指す。売り上げに関しては、2000年度実績見込みは517億円で、ASPとISPがそれぞれ35%と65%を占めている。2002年度には1,300億円の売り上げのうちASPとISPの比率は55%と45%に変化する。ASPは2000年度に対して3.8倍、ISPは同じく1.8倍に拡大する勘定だ。