米ファーマコピアがCCS事業統合で新会社
MSIやOMGなどを組織統合し「アクセルリス」発足
2001.04.03−米ファーマコピアは2日、ここ数年間にわたって買収を行ってきた米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)などのコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業に関して組織統合を図り、6月1日から新会社「アクセルリス」(http://www.accelrys.com)を発足させると発表した。日本法人もモレキュラーシミュレーションからアクセルリス株式会社に社名を変更する。新会社においては、ばらばらだった製品体系も共通のアーキテクチャー上で統合し、統一のブランドを導入する計画。これに合わせて、国内の代理店網も再編されることになる。
ファーマコピアは、1998年2月に分子モデリング/計算化学で最大手のMSIを、2000年2月にケムインフォマティクスの英シノプシスを、同8月に欧州最大のCCSベンダーだったオックスフォードモレキュラーグループ(OMG)を買収。OMGは1997年4月にバイオインフォマティクス大手の米ジェネティックコンピューターグループ(GCG)を傘下に収めていたため、これによりファーマコピアグループはCCSの全領域を網羅する包括的製品群を擁するトップベンダーの地位についていた。
今回、MSI、シノプシス、OMG、GCGという主要4ベンダーの組織を統合し、新会社アクセルリスの下でCCS事業をさらに発展強化させる方針を打ち出したもの。新会社の社員数は全世界で約500名で、開発部門を中心に合併前よりも人的規模は拡大しているという。
旧4社の製品は相互の連携によって価値が高まる。例えば、GCGの遺伝子配列解析技術とMSIのたん白質モデリング技術の融合は非常に強力な構造ゲノム解析ツールを生み出す。また、MSIの「マテリアルスタジオ」によるポリマーシミュレーション技術を、OMGのQSAR(構造活性相関)ツールである「Tsar」と組み合わせることにより、ポリマー研究者にとってデスクトップパソコン上での強力な材料分子設計環境を提供することになる。さらに、OMGの化学情報管理システム「RS3ディスカバリー」とシノプシスのオラクル対応データカートリッジ技術の統合は、化学者にとって高速で安定したデータベースシステムの構築を可能にする。
これまでは、各システムが十分に連携できなかったが、新生アクセルリスの下で製品統合を推進していく計画。基本的には、ウィンドウズ系のクライアントに、ウィンドウズ系またはUNIX/Linux系のサーバーを組み合わせたクライアント/サーバー型のアーキテクチャーをベースとし、ベンチケミストから計算化学のエキスパートまでが共通の操作性で各種ツールを駆使できる環境を目指していく。今後の製品統合計画の詳細は、6月19日から開催されるジャパンユーザーフォーラムで明らかにされる予定だ。
一方、アクセルリスの社内体制については、マイケル・ステイプルトンCOO(最高業務責任者)のもとに5つの事業部門と販売部隊が組織される。バイオインフォマティクス事業部門は米マディソンに拠点を置き、ジョン・デリサンティ上級副社長が、ケムインフォマティクス事業部門は英国のリーズとプリンストンを中心とし、グレン・ホプキンソン上級副社長が、ライフサイエンス/シミュレーション事業部門は米サンディエゴからスコット・カーン上級副社長が、マテリアルサイエンス事業部門(担当役員は未定)は英ケンブリッジを拠点として活動する。新設されたコンサルティング事業部門と営業部隊についてはボブ・ホワイト上級副社長がサンディエゴから指揮をとることになっている。
日本国内の代理店網の編成に関しては、ライフサイエンス/シミュレーションとマテリアルサイエンス分野を菱化システムが、ケムインフォマティクス分野を富士通が、バイオインフォマティクス分野は三井情報開発が担当することになる。これにともない、旧製品を扱っていた一部の代理店はアクセルリスとの関係が切れることになる模様。