CCS特集:モデリング・計算化学系

ベストシステムズ

 2001.05.25−ベストシステムズは、国内の大学や研究機関でつくられたプログラムを集積することで新しい国産CCSを確立しようという新しいベンダーである。システムはMolWorksと呼ばれ、昨年9月から販売を行っている。1万5,000円(アカデミック1万円)という低価格で提供しており、化学系研究者の電卓がわりのソフトとして幅広い普及を目指している。

 MolWorksは、分子構造の作成・表示、計算結果の解析を中心とした「計算機化学支援」、状態図やPVT、気液平衡、蒸留などプロセス計算を行う「化学工学計算」、物理化学的性質や熱力学的性質、毒性、安定性、スペクトルなどを予測する「物性推算」、ニューラルネットワークや遺伝的アルゴリズム、数理統計手法を用いた「データ解析」、実験値や計算結果などを収録し、複合的に使える「インテリジェントデータベース」、ネットワーク環境に対応した「ネットワークコンピューティング支援」−といった統合的な機能を最終的には持たせる予定。

 配座探索プログラムCONFLEX、生体分子向け分子動力学プログラムPEACH、たん白質全電子計算プログラムProteinDFなど、国内の大学などで開発されているCCSの計算エンジンをどんどん組み込めるようにしていく。

 9月にはバージョン2.0をリリースする予定だが、現在の有機低分子に加え、たん白質や核酸、糖、脂質などの生体高分子向けテンプレートとビルダー機能を追加する。国産ソフトであるため、ユーザーからもらった要望や意見をすぐに開発に反映させることができる。きめ細かく機能追加をしていく考えだ。

 同社自体は、パソコンを利用したクラスターシステムによるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境を提供するベンチャー企業であり、MolWorksの提供と合わせてのシステム提案やシステム構築も手がけている。