CCS特集:総合系

富士通

 2001.05.25−富士通は、計算化学からケムインフォマティクス、バイオインフォマティクスまで、またライフサイエンス系からマテリアルサイエンス系までCCSの全領域にビジネスを展開している。開発者のJ.P.スチュワート博士と専属コンサルタント契約を結び、分子軌道法ソフトの定番であるMOPACを富士通製品にしたのに続き、英オックスフォードモレキュラーから分子モデリングソフトCACheの事業を買い取ったり、つい先ごろも呉羽化学工業との共同開発製品の権利を開発者ごと引き取ったりするなど、日本の“血”の流れるソフトで製品群を充実させてきている。

 富士通にとって、昨年は海外でのCCS事業基盤が整ってきた1年だったといえる。CAChe事業を入手したのが昨年4月だが、開発はFQSポーランド、マーケティングは米国ビーバートンと拠点が整い、CACheのみならずWinMOPACやWinMASPHYC(米国での販売名はマテリアルエクスプローラー)などの国産ソフトを海外で販売する足がかりが本格的に築かれた。

 実際、富士通製品となったこの1年で、CACheの売り上げは世界で拡大しており、ワールドワイドのユーザーベースを手に入れたいという所期の目的は果たされつつある。今年は海外の売り上げ3倍増を目指していく。

 一方、国内ではバイオインフォマティクス分野の伸びが大きい。三菱化学との全面提携などの大きな話題もあるが、具体的なことはまだこれから。現実に拡大しているのは、主に官公庁関係のバイオ関連プロジェクトでシステムインテグレーションや受託プログラム開発の案件で、30−40%増という勢いで伸びた。この分野では、外国のソフトを利用したパッケージビジネスは行っていないため派手さはないが、着実に案件を獲得している。CCS事業を20年近くにわたって継続してきた実績が力になっているという。民間からは、ドットコムサービスの「ネットラボラトリー」経由でプログラム開発の依頼を受けるケースも多い。

 ライフサイエンス市場に対しては、富士通全体では臨床試験のシステムや病院向けシステムなども得意としており、間口を広げてあらゆる需要に対応できるようにしていく。