CCS特集:モデリング・計算化学系

NEC

 2001.05.25−NECは、GAUSSIAN専用のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)機能を提供するウィンドウズソフト「MolStudio」を製品化しているが、6月には2年ぶりにバージョンアップし、リリース3.0を発売する。販売実績も累計500本と昨年も順調に伸びており、非経験的分子軌道法の大衆化への貢献度が評価されている。

 昨年はガウシアン社から純正品ともいえるGUIソフトのウィンドウズ版が発売され、その影響が懸念されたが、実際にはほとんど影響がなくMolStudioの販売は非常に順調だったという。これは、すでに国内での知名度が高まっていたことに加え、国産ソフトならではのサポートの安心感が大きな理由になっているようだ。

 ただ、MolStudioはGAUSSIANに対して正確な入力データを作成することに重きを置いているため、初心者には操作がやや難しいという問題があった。使い方は純正品の方が簡単だったという。

 そこで、新しいリリース3.0では、入力操作の全面改定を図り、数値入力を意識せずに画面上でテンプレートを使って分子モデルを組み立てるだけで入力データを作成できるようにした。ウィンドウズ版のGAUSSIAN98Wをそのままダイレクトに起動させることも可能になり、その計算結果も同じウィンドウズ内で評価できるため、使い勝手は大幅に向上しているという。

 また、英語版のウィンドウズ上で動かしたいという要望にも応えたが、本格的な英語版の開発と海外での販売はいまだ課題となっているので、今後の展開に期待したい。

 一方、国内で今後注目されるのは教育用途への浸透である。CCS教育を講座に取り入れる大学が増えているためだ。いまは半経験的方法を使うところが多いが、やはり非経験で行いたいという教官も増えており、本格的な採用が待たれる。