インフォコムのADME受託試験サービスが好評
米アブソープションシステムズへのアウトソーシングで拡大
2001.06.11−インフォコムが昨年から開始した米アブソープションシステムズ社によるADME(吸収・分布・代謝・排出)受託試験サービスの実績が出はじめた。医薬品は、活性が高くても体内で吸収されにくかったりすぐに代謝されて分解してしまったりすると、商品としては成り立たない。そのため、新薬の開発段階でADME/毒性試験を行うケースが増えているもの。とくに、国内では難しい試験ができることなどが評価されており、定期的に発注するユーザーも数社出てきている。インフォコムでは、独自の付加価値を加えるなどしてさらにサービスを充実させていく。
同社は、コンピューターケミストリーなど医薬品研究開発を支援する情報技術(IT)を提供しているが、創薬ソリューションの一環として幅広い取り組みを進めている。
アブソープションシステムズは1997年に設立された受託試験機関で、新薬の候補化合物を対象に溶解度やlogD(脂溶性)、膜透過係数、代謝特性などのデータを測定するサービスを行っている。
とくに、日本のユーザーから評価されているのがアッシングチャンバーと呼ばれる装置を用いた試験。薬物は消化器官の特定の部位で吸収される場合が多いが、この装置を使うと実際の生体組織を使った評価が行える。アブソープションシステムズはラットや犬、猿のほか、ヒトの組織を使った試験も可能。消化管の組織をその順番に並べ、そこに薬剤を滴下して実際に浸透性を測定する。ヒトのサンプルを使用することは国内では不可能であり、貴重なデータが得られる。
また、動物実験によるブラッド・ブレイン・バリア(BBB)試験も特殊なノウハウが必要で、信頼性のある結果を出すのは難しい。薬剤をラットに経口投与し、その後に脳を取り出して血中濃度を測定するというもので、最近では脳に作用することをターゲットにした薬剤が増えていることから、関心が高まっているという。
欧米では、探索研究の段階で候補化合物を大量スクリーニングにかける用途で同社の試験を利用する場合が多い。また、開発がかなり進んだ段階での動物実験の委託、あるいはプロジェクトそのものをフルにアウトソーシングする事例もある。
スピードも特徴の一つで、50化合物の膜透過試験を約二週間でレポートすることができる。国内の規格に合わせた試験方法への対応も可能。一度に10化合物以上を委託するスクリーニング用途と、通常の精密試験方法によるものとで試験内容や費用が異なってくる。
インフォコムとしての取り組みは、これまでのところは単なる仲介業のスタイルだったが、今後はソフトウエアベンダーとして試験結果の報告データを電子化したり、データベースに登録したりする付加価値サービスを提供していく。