NECがGaussian専用GUIツールMolStudio R3.0を6月末に製品化へ

プリプロセッサー機能を大幅強化、初心者にも簡単操作実現

 2001.05.14−NECは、非経験的分子軌道法プログラムの定番であるGaussianのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を提供する専用ソフト「MolStudio」(モルスタジオ、商品名)の最新版、リリース3.0を開発した。6月末に製品化する。入力データの作成を行うプリプロセッサー機能を全面的に改修し、Gaussianの初心者でも簡単に操作ができるようにした。また、ウィンドウズ版のGaussian98Wとの親和性も向上しており、使い勝手が大幅に向上している。

 GaussianのGUIソフトは、昨年に開発元の米ガウシアン社から純正品ともいえる「GaussView for Windows」が発売されたが、利便性や国産ソフトゆえのサポートの安心感からMolStudioの販売も順調に伸びている。今回のMolStudio R3.0はGaussViewの優れていた点も吸収したとしており、今後は教育市場などへの普及にも期待が大きい。

 MolStudioは、もともとUNIXスーパーコンピューターSXシリーズ上のGaussianを、研究者が手元にあるパソコンで自由に利用できるようにとの発想で開発されたもの。このため、ネットワーク環境で入出力処理をウィンドウズ側で行い、UNIXサーバー上のGaussianをリモートコントロールするという使い方を得意としている。

 しかし、最近ではウィンドウズ版のGaussian98Wが発売されたこともあって、ネットワークを介在させずにパソコン単独でGaussianを利用するユーザーも増えている。本家のGaussViewにはUNIX版とウィンドウズ版があり、それぞれのOS環境だけで利用するかぎりは計算機能とGUI機能が統合されて使いやすいが、逆にウィンドウズからUNIXサーバーへのアクセスは複雑なファイル変換などの手間がかかり、MolStudioが依然として支持される大きな理由の1つになっていた。

 一方で、ウィンドウズ単独で利用する場合にはMolStudioはファイル経由のやり取りとなり操作性が劣っていることや、正確な数値入力を重視しているために初心者には敷居が高いなどの課題が指摘されていたという。

 そこで、今回のR3.0では入力機能を全面的に見直し、分子部品のテンプレートを利用して計算したい分子構造を画面上で組み立てるだけで、入力データとなる分子座標値を自動的に生成できる機能を追加した。また、MolStudioのメニュー内からGaussian98Wを直接起動することも可能になった。これにより、同社では本家のGaussViewを凌駕する機能性が実現できたと位置づけている。

 なお、正式な製品化前なので、価格やバージョンアップ料金などの詳細は未定。