米トライポスもOracle 8i用データカートリッジに対応
化学DBシステムUNITY用Auspyxを開発
2001.04.09−ケムインフォマティクスと創薬支援のためのコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである米トライポス社は、化学情報管理システム「UNITY」(商品名)をリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の業界標準であるOracle 8iのデータカートリッジ技術に対応させる「Auspyx」(同)を開発、提供を開始した。化学構造と各種データを一括してオラクル上で保存したり検索したりすることが可能になる。ケムインフォマティクス系CCS分野では、昨年から各ベンダーのオラクルデータカートリッジ対応が急速に進んできており、今回のトライポスの発表によって主要ベンダーの製品がほぼ出揃ったことになる。
化学データベース(DB)分野では、以前はオラクルのような汎用的なRDBMSに化学構造情報を登録したり検索したりする機能がなかったため、各ベンダーは独自のデータフォーマットで構造式などを管理していた。しかし、Oracle 8iのデータカートリッジ技術を利用すると、化学的な構造情報と通常の文字・数値などのリレーショナルデータを統合して扱うことができるため、この新しい技術のサポートに各ベンダーが精力的に取り組んできていた。
ケムインフォマティクス最大手の米MDLインフォメーションシステムズが「ISIS/Direct」の名称で1999年末から段階的に対応を進めているほか、昨年6月に米デイライトケミカルインフォメーションが「Day Cart」を開発、11月には英シノプシス(今年6月からアクセルリスに社名変更)も「Accord for Oracle」の最新版をリリースしている。今回、トライポスが「Auspyx」を開発したことで主要ベンダーの対応がほぼ完了したといえそう。
データカートリッジ技術は、あらゆるフォーマットのデータをすべてオラクルの世界で一元化するため、DBアプリケーションの開発・構築から運用管理、メンテナンスまですべての段階で標準的な技術やツールが利用でき、エンドユーザーのシステム部門に対して大きな利益をもたらす。
とくに、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)などの最新技術を用いた創薬研究においては、たくさんの化合物ライブラリーと膨大なアッセイデータを統合管理する必要があるが、化学構造をキーにしてスクリーニング結果のアッセイデータや物性データなどを検索することができれば、創薬研究の大幅な効率化につながる。
トライポスのUNITYとAuspyxの組み合わせにより、二次元または三次元の構造情報を検索式としてあらゆる情報を引き出すことができる。複合化されたDB間の同期などを気にすることなく、単一の検索式を用いて医薬品として成功する可能性が高そうな特徴を持つ一連の候補化合物を探し出すといった作業も容易になるという。
開発環境としては、JavaやVisual Basic、C++などの標準的ツールが利用できるが、トライポスではユーザーの個別のニーズにフィットしたアプリケーションを開発・構築するためのコンサルティング/受託開発サービスにも積極的に取り組んでいく方針だ。