コンパックが新ブランド戦略“Evo”を導入
ビジネス向け市場のブランド統一、ノート型など第一弾を発売
2001.05.23−コンパックコンピュータは22日、ビジネス向けパソコンの新しいブランド「Evo(イーヴォ)」を発表した。同時に第1弾としてノートブック型2機種とワークステーション型2機種の新製品を開発、5月下旬から6月中旬にかけて出荷を開始する。同社は今年の1月−3月期のパソコン出荷実績でデルコンピュータに抜かれ2位に転落したが、新ブランド導入を通じ市場トップの地位の奪回を目指す。
コンパックは、従来のサーバー製品を“インフラ製品”、クライアントを“アクセス製品”と位置づけ、4月から事業体制を再編した。ビジネス市場とコンシューマー市場に分かれていた組織を「アクセスビジネス本部」(ABG)として統合している。今回は新体制になって初めての発表で、新しいブランド戦略を導入するもの。
最近はコンシューマー製品でもネットワークが標準装備になるなど、製品面ではビジネス向けとの境目がなくなってきているのが現状であり、開発力を統合してさらに高性能な製品を低価格で投入できるようにするのが新体制の狙いとなっている。
新ブランドの“Evo”はEvolution(進化)から取った言葉で、製品にはカーボンとシルバーを基調にした新しいデザインを採用した。このデザインは“洗練”“ハイテク”“プロフェッショナル”をイメージしたものだという。
これにより、新しいアクセスビジネス本部のブランドは、コンシューマー製品の「Presario」、PDA(携帯情報端末)を中心にした「iPAQ」、そしてビジネス向け製品の「Evo」の3本立てとなる。これまでのビジネス向けパソコンのブランドだった「Deskpro」と「Armada」は今後約1年をかけて「Evo」に完全に移行させる。
さて、Evo第1弾の新製品だが、ノートブック型は「Evo Notebook N150シリーズ」と「同N400cシリーズ」の2機種。N150はフル機能搭載のA4スリムノートで14万9,800円という戦略的価格を設定。日本市場に合わせて設計・開発されたもので、企業で大量導入される主力製品として拡販を目指していく。
XGA対応の14.1インチTFT液晶ディスプレーを装備、CPUにはセレロン700MHzまたはモバイルペンティアムIIIの800MHzを搭載している。
N400cはB5サブノートだが、デスクトップと同じ19ミリメートルピッチの本格的キーボードを搭載しており、薄さ22ミリメートル、重さ1.6キログラムを実現した。最大の特徴は新開発された“マルチポート”。これは閉じた時のふたとなる液晶パネルの背面部分のスペースを有効活用し、そこにワイヤレスモジュールを組み込もうというもの。具体的にはふたのシルバーの部分がスライドして専用モジュールを脱着することができる。マザーボードと物理的に離れているためノイズの影響を受けにくいなど、無線機構を搭載する位置としても最適だったという。専用の無線LANモジュールとBluetoothモジュールを7月上旬から提供する予定。発表会場に展示された試作機の場合であるが、これを実際に装着すると、その部分がやや盛り上がったような格好になる。
CPUにはモバイルペンティアムIIIの700MHzを採用しており、価格は25万4,000円から。出荷開始は6月中旬。
一方、ワークステーション製品はデュアルプロセッサー型のミッドレンジおよびハイエンドの2機種で、ペンティアム4アーキテクチャーをベースにしたXeon(1.4または1.7GHz)を2個まで搭載できる。エントリーからハイエンドまでの7種類のグラフィックモジュールが選択でき、とくに機械設計/構造解析、CGアニメーション、金融関係などのアプリケーションに向けて販売活動を展開する。
価格はミッドレンジの「Evo Workstation W6000シリーズ」が35万5,000円から、筐体が大きく拡張性の高いハイエンドの「同W8000シリーズ」は54万5,000円から。
また、発表に合わせて来日したケン・ウィレットABG担当副社長は、開発中の将来コンセプトとして「Dual Worlds」と「Tablet PC」についても明らかにした。
Dual Worldsは普段は15インチ液晶のノートブックマシンだが、ワイヤレス型のキーボードとマウスを取り外し、ディスプレー部を折り曲げて立ち上げることでデスクトップマシンに変身するというもの。製品化の時期は未定となってる、
Tablet PCは紙に書くようにペンで操作できる携帯型パソコンで、90%の操作をキーボードを使わずに行えるようにデザインされている。マイクロソフトと共同で製品化のための研究を進めており、こちらは来年に製品化することが決まっているようだ。