富士通がストレージシステムのアウトソーシングを開始
ブロードバンド時代に向けSSP事業者などをサポート
2001.06.06−富士通は5日、大容量の記憶装置を電気やガスのように容易に利用できるようにする「ストレージユーティリティサービス」を7月から開始すると発表した。インターネットデータセンター(iDC)やセキュリティ、運用管理などのサービスソリューションを提供するシステムサポート本部の新事業として取り組んでいく。ブロードバンドインターネット時代にリッチコンテンツなどのデータ量が増大し、大容量のストレージシステムを外部委託するニーズが増えるとみており、今後3年間に合わせて300テラバイトを提供する計画。2003年度の売り上げで150億円の事業規模を見込んでいる。
今回のサービスは、インターネットを介してディスクスペースを提供するストレージサービスプロバイダー(SSP)事業を行うインターネット事業者ならびに、大容量の記憶装置を使用する大規模なデータセンターを持つ一般企業顧客が対象となっている。富士通は、顧客のデータセンター内に記憶装置を持ち込み、その運用管理とサポートを担当する。ユーザーの投資額はゼロで、費用は月額の契約料金となる。
とくに、大容量のストレージシステムを利用する場合、システムの購入費が高額になるほか、運用管理にも特殊なノウハウが必要、台数が多くなって障害発生のリスクが増大、新技術への対応が困難、インターネットビジネスは消長が激しく記憶容量の需要予測が難しいなどの問題がある。今回のサービスによって、ユーザーはこうした問題から完全に解放される。
利用する記憶装置は富士通製のGR720、GR740、NR1000などが中心となり、ファイバーチャネルで接続するSAN(ストレージエリアネットワーク)型でも、LAN経由で接続するNAS(ネットワークアタッチドストレージ)型でも対応が可能。利用は最低100ギガバイトからで、24時間/365日の運用監視を行い、99.99%の高可用性を保証できるとしている。富士通はこのためにSSP分野で実績豊富な米ストレージネットワークス社(ピーター・ベル社長)と技術提携し、米社のストレージ管理ツールを使ってサービスを提供することになる。このため、他社製の記憶装置も含めたマルチベンダー環境にも対応が可能。
ストレージシステム自体は基本的に専用で顧客のデータセンター内に置かれ、電源やチャネルスイッチ、ネットワーク、データなどをすべて二重化し、安全性を高めている。また、同社の専門技術者以外が立ち入りできないようにIDカードや生体認証を使ったセキュリティを導入するという。
同社では、当面はインターネット事業者からのニーズが多いとみており、SSPサービスを提供する事業者に対し、背後で同社のサービスを利用するように働きかけていく。
サービス項目としては、通常のストレージサービスのほか、バックアップサービス(2種類のバックアップパターンを用意)やレプリケーションサービス(災害対策としてのデータ複製と復元、2002年から開始)をそろえている。