日立製作所とマイクロソフトがSANソリューションで提携
開発・検証・サポート・マーケティングまで相互協力
2001.06.12−日立製作所とマイクロソフトは、SAN(ストレージエリアネットワーク)分野のトータルソリューション提供で提携した。共同で検証センターを設立し両社のハードとソフトの融合を高いレベルで実現するほか、相互に技術者を育成し合ってサポート体制を強化し、販売・マーケティング面でも全面的に協力し合う。マイクロソフトとしては、基幹業務系へのウィンドウズ技術の浸透・普及を図る狙いがあり、日立にとってはユーザーの選択肢を増やす努力の一環となる。
今回のソリューションは、日立のHA8000サーバーとSANRISEディスクアレイ装置に、マイクロソフトのデータベース管理システム(DBMS)であるSQLサーバー2000エンタープライズエディションを組み合わせたものとなる。
SANなどのストレージソリューション分野では、サン・マイクロシステムズとオラクルの組み合わせが主流となっているが、日立の木村伊九夫システムソリューショングループCOO兼SANソリューション事業部長は「ウィンドウズでも基幹業務系アプリケーションに十分対応できるようになってきた。そうであれば、きちっとしたソリューションを提供できる体制をしっかり固めて、ユーザーの選択肢を広げる努力をすべきだと判断した」と述べる。マイクロソフトの鈴木和典エンタープライズセールス/マーケティング担当取締役も「まずはユーザーの選択肢の中に我々のソリューションをきちんと入れてもらうことが大切だと考えている。今回の提携を通してサンとオラクルを追撃していく。現在、SQLサーバー全体の中のエンタープライズエディションの比率は20%にとどまっているが、これを早急に50%にまで引き上げたい」とした。
具体的な提携内容としては、6月中旬にマイクロソフト調布技術センター内に「日立−マイクロソフトSANソリューションテクノロジーセンター」を設立し、開発と検証を共同で推進する。例えば、SANRISEのRAID機能を利用した24時間無停止業務データベース(DB)の自動バックアッププログラムをSQLサーバー上で開発したり、SANRISE上のメインフレーム用DBをオープン系DBに高速データ変換し、SQLサーバー上でデータ共有するデータシェアリングソリューションを開発したり、遠隔地のSANRISEシリーズ上にDBの複製をつくっておくことで災害などからデータを保護するディザスターリカバリーソリューションを開発したりする。
また、こうしたトータルシステムの形で一括してサポートできるように両社のサポート体制を強化し、問題発生時にも一体となって迅速な解決ができるようにしていく。このため、日立グループ内で2003年3月末までに1万人の技術者がMCP(マイクロソフト認定技術者)トレーニングを受け、SQLサーバーに対応できる上級資格者を1,000名育成。マイクロソフト側も、SANRISEシリーズの技術スタッフを100名育成する。
今回の提携は、昨年6月に米マイクロソフト本社との間で結ばれた包括提携の成果の一つ。当面は国内市場向けに限られるが、ワールドワイドに広げていくことも検討しているという。