米トリップワイヤが日本法人を設立し、本格的に事業を開始

不正なハッキングを検知し、データの完全性を守る

 2001.05.24−ネットワークのセキュリティ技術を提供する米トリップワイヤ(本社・インディアナ州、ワイアット・スターンズ社長兼CEO)は、日本法人「トリップワイヤ・ジャパン」を設立し、日本市場での事業体制を強化した。同社はデータの完全な状態を常に保証する“データ&ネットワーク・インテグリティ”(DNI)を提唱しており、不正なハッキングなどからのデータの最終防衛ラインを司る製品群を提供している。8月上旬には機能強化した新製品を発売する。

 日本法人のトリップワイヤ・ジャパン(浅見修二社長)は、米国本社の100%子会社で、資本金は1,000万円。本社は東京都千代田紀尾井町3−28、紀尾井町Kビルに置かれている。販売は代理店経由で、具体的にはインテリジェントウェイブ、京セラコミュニケーションシステム、東芝情報システム、ネットマークス、松下インターテクノの5社が担当している。

 同社のDNIは、ネットワーク上の全てのインフラに存在するデータを常に完全な状態に保つことにより、ネットワーク全体の高度なセキュリティを保証するソリューション。同社の説明によると、インターネットのブロードバンドの普及にともなってハッキングの被害が拡大しており、今年は昨年より55%増加して、毎日42のウェブサイトがハッキングを受けているという。とくに、悪意のあるハッカーは1日平均6回はB to Bサイトを攻撃しており、国内でも先のゴールデンウィーク中に多くの企業のサイトが不正侵入を受けたということだ。

 さて、同社の新製品は、「Tripwire for Servers 2.4」と「Tripwire Manager 2.4」、さらに「Tripwire for Web Pages」の3種類。

 Tripwire for Serversはサーバー用のソフトウエアで価格は18万円。企業内外からデータに加えられるすべての変更を監視し、不正な改ざんや操作ミス、ソフトウエアの障害、不正なソフトの導入などを迅速に検出する。正常な状態の基準となるデータベースをあらかじめ作成しており、それとリアルタイムに照らし合わせることですべてのデータやファイルの整合性を確認する仕組み。

 Tripwire Managerは、1台のコンソールから2,500台までのサーバーを集中管理する機能を持っており、価格は174万円。

 Tripwire for Web Pagesは、インターネットのウェブページ専用のツールで、不正な書き換えが行われ場合にそれをただちに検知し、そのページを閲覧できないようにガードすることができる。これにより、改ざんされたページが露出することによる経済的損失や企業イメージダウンを最小限にとどめる。価格は23万4,000円。

 米国では、ネットワークのセキュリティに関して、問題が起こってから対処するのではなく、あらかじめ対策を講じることが重要だという認識が広がってきている。セキュリティ技術にはファイアーウォールなどさまざまなものがあるが、現実的にはハッカーの侵入を完全に阻止するのは不可能だといわれているという。

 トリップワイヤのDNIソリューションは、ファイアーウォールなどをかいくぐってハッキングを受けることを前提とし、それをいかに迅速に検知して、正しいデータへの回復をいかに図るかに狙いが置かれているという意味で、いわばセキュリティの最終防衛線を守る存在であるといえる。

 トリップワイヤ・ジャパンでは、インターネット事業者や官公庁、金融・通信業界などを中心に採用を働きかけることにしており、今年度の売り上げは2億円を見込んでいる。