独ライオンと米MDLが相互提携

バイオインフォ/ケムインフォ統合へ、ADME予測ツール販売も

 2001.8.14−バイオインフォマティクスとケムインフォマティクスのそれぞれの最大手ベンダーである独ライオン・バイオサイエンスと米MDLインフォメーションシステムズが相互提携に乗り出した。ライオンがMDLの製品群のライセンス提供を受け、バイオインフォとケムインフォを統合したソリューション開発を推進する。一方、MDLはライオンのADME(吸収・分布・代謝・排出)物性予測ソフトウエアの全世界での独占販売権を取得。それぞれ、自社の主力ユーザーである製薬産業のR&Dを支援するうえでの製品群を補完し合う意味合いがあるとみられる。

 ライオンとMDLの主要顧客はどちらも製薬産業だが、一方はバイオインフォマティクス、他方はケムインフォマティクスということで、それぞれのユーザー層には微妙なニーズの違いがある。具体的には、製薬会社のバイオインフォマティクス利用部門はゲノム創薬技術を進化させるためにケムインフォマティクス分野のシステムとの統合を要望しているが、ケムインフォマティクス利用部門の方はADME予測を行うことで候補化合物の絞り込みを効率化することに関心がある−といった具合だ。

 今回のライオンとMDLの提携は、こうしたユーザーニーズのトレンドをにらんでのものだと考えられる。

 ライオンは、MDLの化学情報管理システム「ISIS」、生物学的アッセイ情報管理システム「AssayExplorer」、アッセイプレート管理システム「Apex」、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)総合支援ツールの「アファレント」、ドイツを代表する化学データベースシステム「CrossFireバイルシュタイン」を導入し、社内での創薬プロジェクトに活用するほか、自社のバイオインフォマティクス製品群とのインターフェースを開発し、統合インフォマティクスソリューションに仕上げていく計画。

 一方のMDLは、ライオンが昨年12月に買収した米トレガバイオサイエンスの製品だったADME予測ツール「iDEA」の独占販売権を得た。MDLの豊富な顧客ベースに売り込める点では、ライオンとMDLの双方にメリットの大きな販売提携だといえる。

 ライオンは、やはりケムインフォマティクス技術の取り込みを狙って、昨年2月にケムインフォ大手のトライポスに資本参加するなどの施策を実施しているが、今回のMDLとの提携との関連性など、詳しいことはいまのところ不明である。

 なお、国内では幸いなことにライオン、MDLともに代理店をCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)が務めており、販売面での混乱は起こらないと考えられる。