オラクル「iDevelop2001」:レネ・ボンバーニ副社長基調講演

Oracle9i、Java開発・実行環境の優位性を強調

 2001.09.11−米オラクルのレネ・ボンバーニ副社長は、9月6日と7日の2日間にわたってパシフィコ横浜で開催されたデベロッパーズコンファレンス「Oracle iDevelop 2001」で「Develop.NOW」と題して基調講演を行い、インターネットをベースにしたウェブサービスの発展について論じた。講演のなかでは恒例のマイクロソフト批判を展開しつつ、とくにマイクロソフトが取り組めていないJava分野でのオラクルの優位性を訴えた。

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 Oracle9iのマーケティング担当であるボンバーニ副社長は、ドットコムの崩壊から話しをはじめ、新しい法則を打ち立てる必要があると述べ、まずマイクロソフトの戦略を批判した。「マイクロソフトが積極的に推進しているSOAP(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル)が注目されているが、これだけではダメで、もっといろいろなものを必要とする。その意味でJavaとは違う。また、ドットネット(Microsoft .NET)にも問題がある。まず、開発環境がいまだにVisualBasicだ。いったいJavaはどこに行ってしまったのか。それに、ドットネットを1年以上前から口にしていて、やっと公開したデモが“Donkey.NET”だ。これはいままで四角だったウィンドウズのボタンがロバの形でできることを示したものにすぎない。ロバ型のボタンとドットネットに何の関係があるんだ」とジョークを交えて批判し、Oracle9iを利用するのがこれからの正しい法則であると断じた。

 Oracle9iは、10月1日から日本語版の提供を開始するオラクルの新製品で、これまで100以上存在したオラクル製品群を「Oracle9i データベース」と「Oracle9i アプリケーションサーバー」の2つに集約して体系づけたもの。

 Oracle9i DBは、あらゆるデータを一元的に扱うDB管理システム。ボンバーニ副社長はドットコム時代にはたくさんのウェブサーバーの管理に時間をかけていたが、これからは大きなサーバーを集中管理した方が効率が良いと述べ、Oracle9i DBの利点を強調した。「大規模サーバーの時代だと言っても、ハードが1台だったら故障した時に困る。それで、これからはクラスターシステムの重要性が高まる」とし、Oracle9i DBの“リアルアプリケーションクラスター”技術を解説。再プログラミングなしで、ノードが増えるほどに性能が向上すると力説した。

 「他のベンダーもクラスターがあると言うだろう。ではマイクロソフトのSQLサーバーのクラスターはどうか。いま走るのはTPCベンチマークプログラムだけだ。SAPもオラクルも実際のアプリケーションは1本も対応していない。IBMのDB2クラスターはメインフレーム用だ。いまさらだれがメインフレームを買うのか。ウィンドウズやLinuxでも使えるが、再プログラミングが必要だ」とライバルを切って捨てた。

 さて、講演のハイライトとしてボンバーニ副社長が積極的に取り上げたのは、Oracle9iによるJavaの開発・実行におけるパフォーマンスの高さである。「J Developer 9i」は、Javaアプリケーションの設計からコーディング、デバッグ、チューニング、配布までのライフサイクル全体を統合化でき、J2EE(Java2エンタープライズエディション)に最適な開発ツールが完全にそろっているだけでなく、個々のツールのそれぞれが市場における最高の製品であると胸を張った。

 具体的なデモンストレーションとして、たくさんの女の子とデートの約束をしてそのスケジュールを管理するウェブサイト(ジョークの一種である)を構築してみせた。まず、検索が少し遅いので、“コードコーチ”を使って問題解決を図る。これはソースコードや宣言文、プログラム構造を自動的に解析し、一連の改善点を探し出してくれるもの。修復もボタン1つで、これにより23秒かかった動作を2秒に短縮させた。また、Oracle9iのポータル機能と連動させ、スケジューラーを“ポートレット”化し、パーソナライズされたポータルサイトに送り込めるようにした。さらに、それをXMLに変換し、モバイル用のスタイルシートを通して、アクセスしてきたモバイル機器を自動判別してスケジュールを送り出す機能を簡単に作成してみせた。

 ボンバーニ副社長は「Javaは遅い。Javaが速いという開発者は1人もいないだろう。しかし、だからこそJavaをいかに速くできるかがカギになる」と述べ、いくつかのベンチマークを示した。まずはJavaのプログラムサイズの小ささで、BEAの3分の1、IBMの4分の1となった。IBMハードウエア上でのベンチマークでは、1秒当たりのトランザクション数でオラクルが67.43、BEAは15.37、IBMが6.95という結果になった。また、Oracle9i ASは通常のデータキャッシュに加えてページキャッシュを持っており、毎秒数千ページビューに耐える処理速度を実現している。とくに、動的なウェブページでも高速に構成できるのが特徴だという。

 ボンバーニ副社長は、「Oracle9iは10月1日からリリースされる。いますぐに開発に取りかかっていただける」と述べて、講演を締めくくった。