菱化システムがアクセルリスのADME予測ツール

BBB・吸収性など予測、ライブラリー作成段階で活躍

 2001.11.6−菱化システムは、米アクセルリスが開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)予測ツール「C2 ADME」を発売した。統合型分子設計支援システム「CERIUS2」の最新版バージョン4.6の新機能として提供されるもので、新薬開発の初期段階で薬物の吸収性などを考慮することで開発の確度を高め、開発期間を短縮することに寄与する。現在、ブラッドブレインバリア(BBB、血液脳関門)透過性、小腸での吸収性、水への溶解度の3つの特性を計算でき、ソフト価格はそれぞれ200万円。3本セットは500万円。年内受注分は25%引きで販売する。

 新薬開発においては、開発の過程で新規に合成された化合物の90%が製品にならず、そのうちの約半数がADME/毒性の不適合によって落とされているという。一方、1990年代の半ばから後半にかけて新しい創薬研究法として大流行したコンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)は、当然のことではあるがムダな実験を多数生み出してしまった。

 このため、最近ではコンピューター上のバーチャルスクリーニングを経て確率を高めた候補物質群を実際に合成し、それに対してハイスループットでの実験・評価を行うという方法に注目が集まりつつある。 ADME/毒性予測ソフトも、初期の製品は探索研究の段階で使うというよりも、前臨床などの開発段階に焦点を合わせたものが多かった。しかし、今回の「C2 ADME」は探索研究の早期に化合物ライブラリーを設計する段階でADME/毒性を考慮できるようにつくられている。高速なアルゴリズムを採用しているのが特徴だ。

 今回、製品化されたのは、BBBと吸収、溶解度の3つの特性を予測するモジュール。分子量が500未満、AlogPの値が5未満、HBA(水素結合アクセプター)が10未満、HBD(水素結合ドナー)が5未満−など、“ドラッグライク”な化合物の指標ともいわれる“リピンスキーのルール”を加味し、アクセルリスの親会社のファーマコピアで実際に測定されたデータセットを用いて開発された。

 例えば、BBB透過性を導き出す相関式を得るために881化合物からなるデータセットを、同じく溶解度を求めるためには784化合物のデータセットを用いた。広範な化学的空間を網羅したサンプルとなっており、十分に検証された正確なモデルをつくり出すことに成功したという。

 具体的には、化合物の二次元構造を入力するだけで、それぞれのADME特性値を予測してくれる。スループットは、1時間に1万5,000−2万分子、高速ディスクリプターモードで同200万分子以上を計算できる(ベンチマーク環境はSGI Origin200、R10000:180MHz)。