富士通がバイオ研究向けXMLツールを発売

米ラブブックから販売権を取得、統合DBシステム構築を推進

 2002.02.20−富士通は19日、バイオ研究データなどを業界標準のXML形式で扱うことを可能にするソフトウエア「eLabBook」および「Genomic XMLブラウザー」の販売を開始すると発表した。米ラブブック社(本社・バージニア州、キース・モンゴメリー社長兼COO)から販売権を取得したもので、単なるパッケージ販売ではなく、XMLベースの研究所システムを構築するインテグレーション事業に役立てていく。2004年3月までに1,000本の販売を見込んでいる。

 現在、ゲノム研究のためのデータは、遺伝子配列、アノテーション、解析結果、論文情報などがそれぞれに異なるファイルフォーマットで散在しているのが現状。ラブブック製品はXMLをライフサイエンス向けに定義し直した“BSML”をサポートしており、この技術を利用することでさまざまな研究データを統合的に利用することが可能になる。

 eLabBookは、各種の情報ソースをプロジェクト内で有効活用させるためのワークグループツールで、BSMLファイルのほか、HTML、マイクロソフトオフィスのファイルなどを取り扱うことができる。また、Genomic XMLブラウザーは、データベース(DB)検索、ホモロジー検索、データマイニングなどの機能を持ち、BSMLで変換されたゲノム配列データとアノテーション情報をビジュアルに解析することが可能。

 とくに同社では、米ラブブックと協力して統合DBシステム構築を推進していく考え。公共のゲノムDBとユーザー独自のDBとの統合処理など、BSMLベースでの多種・多量のデータの有効活用が可能となるので、ライフサイエンス分野の研究開発のスピードアップや新しい発見につながるものと期待されるという。

 ライセンス価格は、eLabBook単体が月額7,500円から、eLabBookにGenomic XMLブラウザー、米Nerac(ネラク)社の情報サービスへのアクセス権を含めたスイートが月額6万7,500円、これにさらに米オハイオ州立大学のバイオDBへのアクセス権を加えて月額9万7,500円、またEMBLやEnsemble、SWISS-PROT、GenBank用のBSMLコンバーターは一括で225万円となっている。ウィンドウズおよびマッキントッシュで利用できる。

 なお、ラブブック製品は伊藤忠商事も販売権を持っており、グループのCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)およびCRCソリューションズを通してビジネスを行っている。こちらはCTCLSが販売、CRCが技術サポートを担当するという体制となっており、やはり統合システム構築を狙ったサービスを展開している。