日本SGIが京都大学化学研究所に国内最大級のスパコン

スカラー超並列システムへの全面転換、800プロセッサー超の巨大システム

 2002.03.22−日本SGIは、京都大学化学研究所(ICR)から受注した合計800プロセッサーを超える国内最大級の超並列型スーパーコンピューターシステムが稼働を開始したと発表した。1997年1月に導入したクレイを中心とするシステムをそっくり入れ換えたもので、実際には今年の1月から運用がはじまっている。今回、ICRのスーパーコンピューターラボラトリーにはサン・マイクロシステムズの大型サーバーも導入され、ネットワークも新規に更新されたが、その全体のインテグレーションを日本SGIが担当したという。

 ICRスーパーコンピューターラボラトリーは、1997年1月に更新されたCRAY T94/4128およびCRAY Origin2000を中心としたスーパーコンピューターシステムを利用していた。今回の新システムは、ベクトル方式からスカラー超並列処理方式への完全転換とも位置づけられ、それに合わせてネットワークも二重化ギガビットイーサネットへと大幅な高速化が図られている。

 具体的には、計算化学サーバーとして単一システムでは国内最大構成となるSGI Origin3800(512プロセッサー/512ギガバイトメモリー構成)、計算生物学サーバーとしてSGI Origin3800(256プロセッサー/256ギガバイトメモリー構成)、グラフィックサーバーとしてSGI Onyx3400(32プロセッサー/32ギガバイトメモリー構成)、データベースサーバーとしてシリコングラフィックス750クラスター(96プロセッサー/96ギガバイトメモリー構成)からなる大規模超並列システム構成となっている。また、35テラバイトの大容量RAIDストレージシステムSGI TP9400も装備されており、急速に増大するデータ量や計算量にも十分に対応できるディスク容量を確保した。

 このほかにも、サン・マイクロシステムズ製のハイエンドサーバーSun Fire 15Kがゲノムネットサーバーおよびゲノムファイルサーバーとして3台、さらにファイルサーバーとしてSun Fire3800が導入されている。全部合わせると、1,000プロセッサーを優に超える大規模なシステムとなる。

 SGIのマシンは主に高速計算環境を支える存在であり、以前のクレイに比べて10倍以上の計算能力を提供できるということだ。スーパーコンピューターラボラトリーの所有ソフトウエアライブラリーのリストを見ると、どのマシンでどのアプリケーションが稼働しているかをほぼ把握することができる。

 今回のシステム更新に当たっては、単にサーバーマシンを入れ替えるだけでなく、ファイアーウォールの導入や冗長化されたネットワーク機器の導入などのネットワークの大幅強化、さらに既存の膨大なゲノムデータベースの移行といった作業を含むものであり、しかも現行システムによるサービスを中断することなく移行を実施する必要があったという。日本SGIでは、今後も継続的に技術者を同ラボラトリーに派遣し、共同研究を行いながら高度な技術支援を行っていく方針。合わせて、ICRのバイオインフォマティクスセンターが提供している“ゲノムネット”の安定稼働もサポートしていくとしている。