米アクセルリス本社副社長兼日本法人社長:角田礼昭氏インタビュー
日本法人を一気に体制強化、顧客満足向上に全力
2002.06.06−コンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手の米アクセルリスは、対日戦略を大幅に強化し、日本法人の陣容を一気に拡大した。1年前には6名だった人員を44名(日本国内は32名)まで増やした。販売から技術サポートまでを一貫してサービスできる体制を整えている。5月8日付けで米国本社のアジア太平洋担当副社長兼日本法人社長として新たに外部から招かれた角田礼昭氏に新体制の狙いを聞いた。
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角田社長は、コンピューターメーカーの日本CDCを経て、この20年間はグールド、オメダ、ビー・ブラウンなど、医療用具や医療機器の業界でセールスやマネジメントを歴任。前職は独医療用具メーカーであるビー・ブラウンジャパンの社長を務めており、輸液を中心とした医薬品ビジネスの経験も積んでいるという。
今回、本社副社長兼日本法人社長に就任したことについて、角田社長は「畑違いのところから私が呼ばれた背景には、やはり戦略的な考え方がある。アクセルリスのビジネスを次のステージにステップアップさせることが自分の使命になる」と述べる。
とくに、大幅な人的投資は、それ自体が日本を含めたアジア太平洋市場に対する強力なコミットメントでもある。拠点は、東京を中心にシンガポール、韓国、インド、オーストラリアで、角田社長以下、セールスが14名、マーケティングや一般の技術サポートを含むカスタマーサービスが9名、学識経験者らで構成されるサイエンティフィックサービスが11名、管理部門が9名という組織構成である。
「まずは顧客満足度の向上に精力を注ぎたい」と角田社長。同社は、国内では長年、代理店販売方式で活動してきたため、「顧客と正面から向き合ってこなかったところがある。今回、実際にユーザーをまわってみて、いままでは本当に不十分だったという印象を持った。逆に、直接に顔を合わせることによって、アクセルリスの企業としての存在感をユーザーに強く感じてもらえるようになったと思う。私が門外漢だからこそ、顧客の観点で物事をみることを忘れないようにしたい」と話す。
経営計画に関しては、「この下半期に、将来にわたって継続的に成長できる経営基盤を固めることが第一目標だ。来年1月からはじまる新しい会計年度に向けて、日本法人としての中期経営計画をまとめあげていく。アジア市場も楽しみで、直接の拠点のほかに、中国や台湾、タイにも代理店を設けている。成長率が高いし、バイオ関連では各国政府が巨額の予算をつぎ込んできているので魅力的だ。これからの3−5年で今後10年、20年間のシェアが決まってくると思うので、アクセルリスの市場支配力をこの時期にがっちりと築きたい」という。