ベストシステムズが国産CCSを無料オンラインソフト化
MolWorksを完全無料で提供、一気にユーザー拡大目指す
2002.04.25−ベストシステムズ(本社・茨城県つくば市、西克也社長)は、国産のコンピューターケミストリーシステム(CCS)として開発した「MolWorks」(モルワークス)を無料化する。国産CCSの振興という目的もあって、産業技術総合研究所などの研究者らが持ち寄った自作プログラムをベースに同社が製品化したもの。2000年9月から販売してきたが、この5月にリリース予定の最新バージョン1.7から無料のオンラインソフトとしての提供形態に切り替える。ユーザー数を一気に増やし、具体的な声や要望をたくさん集めたいという狙いがある。
MolWorksの現在のバージョンは昨年9月にリリースされた1.5で、ディスプレー上で分子を組み立てて計算化学シミュレーションを行ったり、構造から予想される物性を推算したりするなど、パーソナル型のCCSとして一通りの機能を備えている。システムはすべてJavaで開発されており、プラットホームを選ばないのも特徴。将来的には、高分子や結晶のモデリング、ニューラルネットワークによる物性予測、逆に欲しい物性を発現しそうな分子構造を提案できるリバースエンジニアリング機能、データベース構築機能などを追加していく予定となっている。
同社では、だれもが簡単に入手し活用できる電卓感覚のシステムにしたいという思いから、ソフト価格を1万5,000円(教育機関1万円)に設定した。しかし、結果的には安過ぎたために最初からユーザーに敬遠されてしまい、思うようにライセンス数を伸ばせなかったのが実情だったという。
そこで、最新バージョン1.7をリリースするのに合わせて、完全に無料化することを決めた。その代わりにサポートを有償化し、企業向けに年間1万5,000円、教育機関向けに同1万円でサービスを提供する。もちろん、サポートなしでフリーソフトとして利用し続けても問題はない。ダウンロードはMolWorks専用ホームページから行える。バージョン1.5までは30日間限定バージョンとなる。
同社では、MolWorksが分子設計と物性推算、化工計算も可能だというユニークな機能を持つことを生かし、利用者の底辺を広げることでいろいろな要望を吸収し、次期バージョンの開発にフィードバックさせたい考え。2003年初頭にバージョン2.0を開発する予定であるほか、国立シンガポール大学との共同研究においてフロントエンドシステムにMolWorksを組み込むプロジェクトも進んでいるという。