マイクロソフトがタブレットPC向けウィンドウズを開発
今秋に主要メーカーからマシンが登場、ノートパソコンの上位機の位置づけ
2002.06.13−マイクロソフトは12日、ノートブック型パソコンの進化形態と称する“タブレットPC”向けの新たなOS(基本ソフト)として、「WindowsXP TabletPC Edition」(ウィンドウズXPタブレットPCエディション)を開発、今年の秋から国内の主要パソコンメーカー5社が製品化を行うことに決まったと発表した。対応アプリケーション開発者向けのベータプログラムや開発キットの提供も開始し、具体的な製品の発売開始までに普及への準備を整えていく。
タブレットPCはマイクロソフトが発案したもので、必要なハードウエア要件なども同社が規定している。基本的にはノートパソコンの進化形態だと位置づけており、ハイエンドのノートパソコンの機能をすべて備えたうえで、タブレットPCとしての特有の機能を追加している。
これをサポートする新OSは、WindowsXP Professionalに手書き認識機能、音声認識機能、手書き用ユーティリティーなどを追加したスーパーセットになる。このOSは単体では発売されず、パソコンメーカーへのOEMの形でのみ提供される。
タブレットPCは画面を紙のノートのように利用できることが特徴。会議などで話しながらメモを取るといったこれまでのパソコンではできなかった使い方が可能になるという。とくに、手書き文字を認識する入力パネルには7文字を連続入力することができるが、デモンストレーションによると、かなり崩れた文字でも正確に認識した。
また、必要がなければ文字を認識させず、手書きのままでどんどん画面に書き込んでいくことが可能。紙に書くのとほとんど変わらず、ストレスのない操作性を実現した。しかも、手書きのままで保存し再利用することも可能で、その手書き文字で文書を検索することもできるようにした。これは、手書き文字を単なるイメージではなく、“デジタルインク”という形でテキストの最上位フォーマットとして取り扱っているため。手書きの特定の部分だけを検索のキーとしたり、あとから色を変えたりすることもできる。
WindowsXP TabletPC Editionには、手書きでノートを取るための専用アプリケーション「ウィンドウズジャーナル」が付属するが、マイクロソフトでは発売までにオフィスXPのタブレットPC用アドオンパッケージを用意する予定だ。例えばパワーポイントの場合、スライドショーを実行しながら一部の文字をハイライトさせて目立たせたり、余白に手書きでコメントを付けたりするなどの臨機応変なプレゼンテーションが可能になる。
今回、対応製品の発売を決めた5社は、ソーテック、東芝、NEC、日本ヒューレット・パッカード、富士通で、記者会見ではソーテックとNECの試作機が展示された。ソーテックのマシンは通常のノートパソコンのような外観だが、ディスプレー部分が一回転し、裏返してキーボードの上に納まることでタブレット形態に変身することができた。
タブレットPCは、液晶ディスプレー部分に電磁誘導式デジタイザーを装備するように定められているため、通常のノートパソコンよりも若干のコストアップになる可能性があるが、今年の秋にはほぼ現在のハイエンドノート機と同程度の価格帯で製品が登場しそうだという。また、同社のビル・ゲイツ会長は、5年後にはノート型の大半がタブレットPCに変わると予測しているとのことだ。