NTTソフトウェアがバイオインフォマティックス製品を発売

アノテーションツールなど4種類、理研などとの研究成果を製品化

 2002.11.08−NTTソフトウェアは、遺伝子配列やマイクロアレイなどの解析データを効果的に視覚化することでゲノム研究を支援する「VISUALBIO」(商品名)シリーズを開発、11月から販売を開始した。アノテーションツール、クラスタリングツール、マイクロアレイビジュアルツール、発現解析ツールの4種類があり、初年度5,000万円の売り上げを見込んでいる。

 同社は、1999年から大阪大学および理化学研究所と共同で科学技術振興事業団との委託研究契約を締結し、遺伝子データベースの設計やゲノム解析技法の研究を進めてきていた。また、理研ゲノム科学総合研究センターにおいて、遺伝子機能解析ツールの開発を手がけるなど、バイオインフォマティクスに関するノウハウ蓄積を推進。今回は、とくに同センターとの共同研究成果であるcDNA機能アノテーションシステムと受託ソフトウエアの技術をベースに製品化を実現した。

 具体的には、理研のマウスcDNAデータベースを利用したアノテーションツール「VISUALBIOアノテーション」、遺伝子配列を相同性でグループ化する「VISUALBIOクラスタリング」、マイクロアレイの解析結果を可視化する「VISUALBIOマイクロアレイ」、遺伝子がどの組織で発現しているかを示す「VISUALBIOエクスプレッション」−の4種類のツールをそろえた。すべてLinux環境で動作し、ブラウザーベースの使いやすいユーザーインターフェースを備えている。

 VISUALBIOアノテーション(ソフト価格は300万円から)は、ユーザーが読み取った遺伝子配列に対するアノテーション(注釈)を自動的に生成する機能を持っている。公共データベースを利用したホモロジー検索やモチーフ検索などを自動的に実行し、事前のデータ解析結果から遺伝子の機能定義を自動的に確定することが可能。大量データに対する解析機能に優れており、アノテーションを参照・検索するためのビューアー機能も備えている。

 VISUALBIOクラスタリング(同200万円から)は、大量の塩基配列情報から重複部分を取り除き、類似した遺伝子をグループ化して、どのシーケンスデータが代表の遺伝子情報であるかを抽出、代表を特定することができる。自動クラスタリングエンジンにより、“Gene Family”、“Locus”、“Variant”の3段階の分類が可能で、同一Locus(配列相同性が高いセット)内では、解析結果を数値で比較したり、マルチプルアライメントにより相同性の関係を視覚的に確かめたりすることが容易に行える。

 VISUALBIOマイクロアレイ(同200万円から)は、マイクロアレイのスポットイメージをわかりやすく表示するビューアーで、データベース内の発現情報をリンクして引き出すことが可能。

 最後のVISUALBIOエクスプレッション(同200万円から)は、遺伝子クローンの発現情報をデータベースとして管理するシステムで、マイクロアレイによる大量の発現解析データを効率良く扱うことができる。わかりやすいビューアー機能により、各遺伝子が肝臓や肺などのどの組織で発現しているかを一覧的に理解することが可能になる。

 同社がバイオインフォマティクス分野のパッケージソフトを製品化したのは今回が初めてで、今後は順次シリーズを増やしていく計画である。