日本IBMが産総研向けにGAUSSIAN用グリッドコンピューティング環境
Globusをベースに100台以上のコンピューターを統合
2003.02.18−日本IBMは、グリッドコンピューティング技術を用いて非経験的分子軌道法ソフトウエア「GAUSSIAN」を簡単かつ高速に実行できるようにするポータルシステムを構築し、産業技術総合研究所に納入した。産総研グリッド研究センター(関口智嗣センター長)の“量子化学グリッド”を実現するもので、100台以上のコンピューターを活用し、たん白質や酵素、ナノチューブなどの大規模な分子を対象にした計算を実施していく。
今回のGAUSSIAN用ポータルシステムは、日本IBMとして初めてグリッド管理ソフトの業界標準ツールである「Globus」(グローバス)を利用してつくり上げたものだという。産総研東北センターの7台のIBM製UNIXワークステーションと、つくばの産総研先端情報計算センターにあるLinuxクラスターを構成するIBMのxシリーズ108台を統合している。
とくに、研究者同士がGAUSSIANで計算した結果をデータベース化することにより、知識やノウハウの共有化が実現できるようにしたことがポイント。同じような計算を繰り返すムダを省くことができる。また、ネットワーク上の多数の計算機資源を効率良く使用できるので、計算時間も大幅に短縮されるという。
ウェブブラウザーをベースに、操作もわかりやすくなっているため、利用者はGAUSSIANを活用するための専門知識や、ネットワークやコンピューターに関する高度な知識がなくても、分子シミュレーションを手軽に実行できるようになるという。