インフォコムが英ラボロジックのADME試験情報管理システムを発売
試験業務を大幅効率化、FDAの21CFRパート11対応
2003.03.29−インフォコムは、英ラボロジックシステムズ(リチャード・ブラウン社長)からADME(吸収・分布・代謝・排出)試験のための統合情報管理システム「Debra」(デブラ)の国内独占販売権を取得、同システムの販売を開始した。試験の設定から最終的なレポート作成まですべてのプロセスを一貫して支援する機能を持つ。欧米で40社以上の導入実績があり、試験にかかる時間を最高で60%削減できるという。ADME試験だけに的を絞ったシステムは他にはほとんど例がなく、ソフト価格は約4,000万円から。今後5年間で10社への販売を見込んでいる。
ラボロジック社は1979年設立で、もともとはラジオクロマトグラフィーなどの科学機器企業としてスタートしたが、現在ではソフトウエア事業が売り上げの75%を占めている。ソフトウエア製品には、クロマトグラフィー用データ収集・解析ソフト「Laura3」、全身オートラジオグラフィー(WBA)画像処理ソフト「SeeScan2」、系統研究(ジニオロジー)ソフト「Trace2」、ラジオアイソトープ在庫管理システム「Marie2」−などがあるが、ADME試験管理システム「Debra5」がソフト事業全体の8割を占める主力製品になっているという。大手製薬会社や受託試験機関での導入が多い。
このDebraは、ADME試験特有のニーズに合わせて開発されたプロトコル中心のデータベースシステムで、試験のプロトコル作成から調剤、投薬、ラベル作成、データ読み取り、レポート作成までの業務全体を対話的に行うことができる。米食品医薬品局(FDA)の電子記録・電子署名に関する規制である“21CFRパート11”に完全対応するなど、最終的な新薬申請をも見据えたシステムとなっている。
とくに、一般的な研究所情報管理システム(LIMS)と違って、システムがADME試験のプロトコルを理解できるのが特徴。プロトコル設定は10−15分ほどで行うことができ、ひな形を利用することでさらに効率化を図ることも可能。専用システムならではの使いやすさがある。また、レポート機能が充実しており、試験データを自由に参照しながらグラフィカルな報告書を簡単にまとめあげることができる。レポートは、ワードやエクセル、PDFファイル形式でも出力可能。
基本的にデータは直接計測機器から取り込まれるため、再入力の手間や転記ミスもなくなる。そして、効率的なレポート作成は、トータルの試験時間の大幅な削減に大きく貢献するということだ。
なお、システムの動作環境はWindowsNT系または各種UNIXで、サーバー上にオラクルが必要になる。ソフトウエアのライセンス価格は、4,000万円からフル機能で約1億円となるが、多くの場合は12−18ヵ月で初期投資の回収が可能だという。