理経がプロテオミクス研究のための新ソリューション

バイオセンティエンツと総代理店契約、二次元電気泳動モジュールを発売

 2003.01.18−IT(情報技術)専門商社の理経は、米バイオセンティエンツ(本社・カリフォルニア州、カーミット・ハートソング社長)と総代理店契約を締結、たん白質の二次元電気泳動分析を用いた研究活動を効率化・高度化させるソリューションの提供を開始した。独自の技術によって、再現性に劣るという電気泳動法の最大の問題をクリアしており、たん白質発現の評価や機能解明を強力に後押しできるという。プロテオミクス研究を進める製薬会社や研究機関などに売り込んでいく。分析装置メーカーとの提携も進める計画で、3年後には10億円規模の売り上げを見込んでいる。

 バイオセンティエンツ製品は、さまざまな実験データなどの統合を可能にする独自の“インテリジェントモレキュラーオブジェクト”(IMO)技術をベースにしている。複雑なデータを統合管理するとともに、異なったデータタイプ間の比較、データ更新履歴の追跡などを可能にする「センティエントITプラットホーム」(商品名)として製品化されており、そのうえで動作する具体的ソリューションの第1弾として、今回の二次元電気泳動用「2DE解析モジュール」が発売された。

 二次元電気泳動は、生物学的試料のゲルを等電点および分子量によって分離することで、そこに含まれたたん白質を定量可能なスポットとして検出する技術で、ゲノム情報からは推定できない翻訳後修飾も検出できるという特徴がある。このため、たん白質機能解明の重要な手法として位置づけられているが、実験の再現性が悪く、同一人物が同じサンプルを取り扱った場合でも、ゲルによって得られる結果がまちまちになるという問題があった。

 今回の2DEモジュールは、二次元電気泳動解析を支援する専門ツールで、研究効率を大幅に高めることに寄与する。その最大の特徴は、二次元電気泳動の再現性を高めることが可能な点だという。IMO技術を利用し、新しいゲルに対して過去のゲルライブラリーを参照し、ランドマークスポットを利用して調整を加えることにより、異なったゲル間でも定量的な比較を行うことを可能にした。

 また、装置に添付されている一般的なソフトと比べて約200倍の解析速度を持っている。従来は1つのデータ処理に数10分を要していたが、2DEモジュールはそれを数秒で行うことができるため、研究を大幅にスピードアップするとともに、研究内容の高度化を促す面でも効果が大きい。ゲルを流しながらリアルタイムに感度を調節するなど機能的も豊富だ。ソフト価格は約200万円で、初年度50本、2年目に200本、3年目に500本の販売を見込んでいる。

 今後、バイオセンティエンツはソリューションの幅を順次広げて行く予定で、2月に一次元電気泳動モジュール、3月にキャピラリー電気泳動モジュール、夏に質量分析モジュール、今年末にマイクロアレイモジュール−の製品化が予定されている。

 理経では、今回の発売に合わせ、1月31日に東京・新宿のセンチュリーハイアットホテルでセミナーを開催する。詳しくは以下のURL(http://www.rikei.co.jp/jp/event/event.php3?id=193)まで。IMO技術自体は、電子データの正当性を完全に保証することができるため、21CFRパート11対応のプラットホームとしても役立つ。セミナーでは、そうした応用も紹介される。

 なお、理経はカナダのバイオインフォマティクスソリューションズ(BSI)とも販売提携を行っている。これは、たん白質の質量分析データを解析して未知アミノ酸配列を読み取る「PEAKS」、アミノ酸データベースからの相同性検索を高速に実施する「パターンハンター」、アミノ酸配列からスレッド法でたん白質立体構造予測を行う「ProspectPRO」などのソフトがそろっている。質量分析計を用いると、二次元電気泳動ゲル上に現われたスポットからペプチド断片の分子量・アミノ酸シーケンスデータが得られる。BSI製品はポストゲノム研究において今回のバイオセンティエンツの下流に位置するソリューションといえるため、合わせて販売を強化していく方針である。