マイクロソフトがWindows Media9シリーズを提供開始
ハイビジョン品質/5.1chコンテンツをウェブで配信可能、新規事業創出を支援
2003.01.30−マイクロソフトは29日、「Windows Media9シリーズ」(ウィンドウズメディア9)の提供を開始、それに合わせて発表記念イベント「デジタルメディア・デイ」を開催した。米マイクロソフトの古川享副社長(アドバンスドストラテジー&ポリシー担当)が「Media in the Digital Decade −次世代のデジタルメディアはここからはじまる」と題して基調講演を行い、高画質・高音質のデジタルメディアをインターネットで本格的に配信できる時代になったことを訴えた。
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今回のWindows Media9は、再生ソフトのWindows Media Player9、エンコードツールのWindows Media Encoder9、Windowsサーバー2003に標準装備される予定の配信サーバー機能であるWindows Media Server9、柔軟な著作権保護・管理を可能にするWindows Media DRM9、専用のデジタルメディア圧縮フォーマットであるWindows Media Audio&Video9、コンテンツ開発に利用できるWindows Media SDK9−から構成される。一般ユーザーが使用するWindows Media Player9などは無料でダウンロード可能。ウィンドウズアップデート機能を使っても最新版に更新できる。
今回のWindows Media 9の最大の特徴は、「プロの厳しい目から見て、十分にお金の取れる品質のコンテンツを配信できるようになり、それによって新しいビジネスモデルの創出を可能にしたこと」(古川副社長)。
プレーヤーの起動が30%速くなり、ストリーミング技術の改善でほとんど待たずにウェブ上のコンテンツを再生できるようになった。コンテンツの切り替えもスムーズで、「テレビのチャンネルを変えるのに近い感覚を実現できた」という。
とくに、高画質・高音質のコンテンツを配信することができ、映像は1280×720ドット/毎秒24フレームというハイビジョンに近い品質を送り出すことが可能。しかも、ウェブ配信で初めて5.1chのサウンドを可能にした。インターネットの帯域幅が十分であれば、DVDなどのホームシアターで楽しんでいた映像が、ネット上から直接体験できるようになる。ナローバンドユーザーも考慮しており、毎秒10フレームしか受け取れない状態でも、自動的に擬似フレームを作成して補完することで、カクカクしないスムーズな映像再生を可能にした。
また、視聴者のプロフィール(20代独身男性、30代主婦子供あり、40代男性子供なしなど)に合わせてストリーミングを切り替える機能もあり、例えばライブ映像の配信の合間に個々の視聴者に適したコマーシャルを差し込むことも簡単に行える。
デジタル著作権管理も柔軟に設定可能で、古川副社長は「著作権を守るために闇雲にコピーを禁止する時代は終わった。著作権者が自由に条件を設定・開示して、利用者との間でクリアな関係を結ぶことができる」と強調した。そのために有用なのが“Windows Media Data Session”と呼ばれる技術(写真参照)で、一般のCDプレーヤーなどで再生できる領域とパソコン用の再生領域を切り分けておき、デジタルメディアとしての複製に関して自由な条件を定めておくことができる。マイクロソフトが合わせて発表した“HighMAT”(ハイマット)技術を使えば、音声・画像とプログラムを連動させてディスクを構成することができるため、「プログラム次第でいろいろなことができる。例えばコピーしたコンテンツが1ヵ月で期限切れになり、それ以上楽しむ時にはオリジナルディスクを要求するということも可能。これなら3日後には中古屋に売り飛ばされて制作者が複雑な思いをするということもなくなるのではないか。そのように、きちんと条件を示してデジタルメディアを有効に活用してもらうことは、制作者・消費者の双方の利益にもなり、その中から新しいビジネスモデルが生まれてくる可能性が広がる」と述べた。
Windows Media9シリーズには、コンテンツプロバイダー21社、インターネットサービスプロバイダー12社、インターネットサービスベンダー7社、ハードウエアメーカー22社、サービスプロバイダー28社、ソリューションプロバイダー21社−など国内で100社以上の企業が対応を表明。パソコンだけではなく、さまざまなデジタル家電製品などの形で200種類以上のデバイスが製品化されることになるという。
なお、Windows Media9シリーズをインストールすることにより、4月2日まで開催中の「Super 9 Weeks」(http://wm9.jp)を楽しむことができる。20社が対応コンテンツを提供しており、毎週木曜日に内容が更新される。