ベストシステムズとGRIがスペインのグリッドシステムを販売

イントラネットをグリッド化、たん白質−薬物ドッキングシミュレーションで実績

 2003.06.14−ベストシステムズ(本社・茨城県つくば市、西克也代表取締役)とグループ会社のグリッド総合研究所(GRI、本社代表者同じ)は、スペインのグリッドシステムズ(ジョーン・マッソ社長)と販売代理店契約を締結、企業などのイントラネット環境でグリッドコンピューティングを実現する「innerGRID 2.0」(インナーグリッド)の販売を開始した。とくに、ポストゲノム研究分野で注目されている薬物分子とたん白質とのドッキングシミュレーション用途に売り込んでいく。高速なシミュレーションに適したPCクラスターなども合わせて提供する。

 グリッドシステムズは、グリッドコンピューティングの欧州におけるリーダー企業で、スペインとラテンアメリカを中心とする600以上の大学を結んだグリッド基盤をサポートした実績がある。製品のインナーグリッドは、イントラネットでグリッドを実現するための統合ツール群で、実行環境としてWindows、Linux、ソラリス、AIX、HP-UX、IRIX、MacOS Xといった各種のOS(基本ソフト)をサポートしており、異機種が混在した環境を効率良くグリッド化できるのが特徴。

 ユーザーインターフェースは、専用の“タスクマネジャー”とウェブブラウザーベースの“コネクター”の2種類を用意しており、投入されたジョブは自動的に“マイクロタスク”として分割されて最適なマシンに振り分けられる。タスクマネジャーを使うと、計算に当たっての詳細な設定やジョブの制御が可能になるが、逆にコネクターは画面を簡略化できるので一般ユーザーに使いやすい。

 用途は、金融分野のリスクマネジメントから通信分野のデータマイニング、防衛分野の暗号解読まで幅広いが、ベストシステムズではライフサイエンス分野での導入例が多いことに注目しているという。

 実際、医薬候補化合物とターゲットたん白質とのドッキングシミュレーションに多用されるアカデミックソフトウエアであるAutoDockおよびGRAMMを、インナーグリッド上で動作させた実績があり、研究者が具体的なドッキングシミュレーションを簡単に実行するための“コネクター”も用意されている。すでに、この用途で国内のリファレンスサイトとなるユーザーでの評価も進んでいるという。

 ベストシステムズは、もともとPCクラスターの構築・サポートを得意としている企業で、科学技術計算分野での実績が豊富。学術研究用グリッドのシステムも数多く手がけてきているが、イントラネット環境で利用でき、具体的なアプリケーションを持つインナーグリッドは、グリッドの実用化に道をつけるシステムだとして販売に力を入れる。

 なお、現在のインナーグリッドはファイアーウォールを越えられないが、グリッドシステムズでは新製品「outerGRID」(アウターグリッド)も開発中で、これが完成すれば企業内の複数の拠点のマシンをグリッドに自由に参加させることができるようになる。