CCS特集:アクセルリス

開発体制を大幅強化、日本市場で好調な伸び

 2003.06.26−アクセルリスは、昨年10月に新しくマーク・エムケアー社長が就任、数々の改革に着手しており、財務体質も大幅に改善した。とくに、開発部門の強化を最優先課題としており、インドに開発拠点を設立するなど、今後の製品開発のスピードアップを約束している。日本においては、昨年から本格的に開始した直販体制をさらに強化するとともに、技術サポートをさらに充実させて顧客志向を高めていく。

 同社は、昨年度にリストラクチャリングを断行、620名の社員を540名に削減した。改革の効果は昨年10−12月期から収益性の改善として確実に現われてきているという。組織面では、ライフサイエンスとマテリアルサイエンス分野で分かれていた事業部制を廃止し、開発やマーケティングなどの部隊を統合した。

 とくに、製品開発力の向上に力を入れている。同社はここ数年に顧客志向を打ち出してきているが、ユーザーの最大の不満がバージョンアップや新製品開発の遅れにあったからだという。このため、今年5月にインドのバンガロールに開発拠点を新設した。来年7月までに100名を超える開発スタッフを揃えていく。

 さて、昨年の日本でのビジネスに関しては、売り上げの伸びが世界全体でのそれを大きく上回ったようだ。とくに、材料系統合CCS製品の「マテリアルスタジオ」が好調。CASTEPやCMol3といった量子化学計算での伸びが目立った。既存ユーザーがライセンス数を増やした例があったほか、初めて量子化学計算に取り組むなどまったくの新規ユーザーもあり、利用者の裾野は確実に拡大してきているという。

 一方のライフサイエンス系「ディスカバリースタジオ」は、医薬低分子化合物から生体高分子のたん白質まで幅広い解析・モデリング機能を持っているのが特徴で、最近ではストラクチャーベースドラッグデザインのためのツールとして評価が高まっている。もともとのUNIX版だったInsightII/QUANTAの全機能の移行にはまだ時間がかかるようだが、Windows版に変わっての分子モデルの操作性・表現力、計算設定の簡便さ、また計算エンジン自体も最新アルゴリズムでリニューアルされていることもあり、実際にユーザーベースは大きく広がってきているようだ。

 国内ユーザーに対しては、さらに技術サポートを充実させるとともに、本社の開発サイドの最新状況をタイムリーに伝えることに心がけていきたいという。本社から担当者を3ヵ月おきに日本に呼んで開発の進捗状況を説明、ユーザーとの双方向でのコミュニケーションを密にしていきたい考えである。