CCS特集:日立ソフトウェアエンジニアリング

DNAチップ関連が拡大へ、遺伝子索引情報提供サービスにも期待

 2003.06.26−日立ソフトウェアエンジニアリングは、バイオ情報システム製品とDNAチップ関連システムを二本柱にしてライフサイエンス事業を展開しているが、昨年度についてはDNAチップ関連の新展開にやや遅れがあったことから、全体では微増の伸びにとどまった。今年は、国内については順調に進展しており、米国市場の建て直しを図って再び成長軌道に乗せたい考えだ。

 DNAチップの「エースジーン」は、新しく開発したオリゴヌクレオチド型のチップで、ヒトの3万遺伝子に対応して5万9,800円という低価格で提供している。昨年度に関しては、量産時期が3ヵ月ほど遅れて10月からの出荷となったために、売り上げ貢献は予定に届かなかったが、現在では好調に出荷を重ねており、すでに顧客は200サイトを超えてリピートオーダーも増えてきているという。

 これにともない、読み取り装置の「CRBIO IIe」の引き合いも好調さを回復してきた。実際に、エースジーンユーザーが読み取りも日立製でと希望する事例が多いようだ。この新型機の投入が昨年はやや遅れてしまい、とくに米国市場でのダメージにつながったという状況がみられたが、今年はあらためて対米戦略を強化していく計画である。

 一方、バイオ情報システムは安定した伸びをみせているが、今後とも最新バージョンの開発に力を注ぎ、さらなる発展を目指していく。「DNASIS」の製品名でパッケージからソリューションまで幅広く品揃えしており、機能強化した配列解析ソフト「DNASISプロ」に加えて、遺伝子索引情報提供サービス「DNASISジーンインデックス」にも期待が大きい。これは、別々の機関で管理されている遺伝子関連情報を網羅的に参照したり、実験データと複数の公開データベースの関連を探ったりすることを容易に実現するもので、顧客の施設内に専用の検索システムを構築して提供する。最新データは日立ソフト側から配信され、検索情報が社外にもれないのでセキュリティに気を使うユーザーに好評だという。

 また、同社は昨年11月に設立された国際バイオインフォマティクス研究所(BiGG)に出資している。遺伝子治療や予防医学に関連した技術の実用化を目指したもので、日立ソフトはこれまでにもDNAチップ研究所や植物ゲノムセンターなどに投資した実績がある。