住商エレが米インナフェーズのADME試験管理システムを発売
ADME試験分野に特化、欧米で広範な実績
2003.05.14−住商エレクトロニクスは、米インナフェーズ社(本社・ペンシルバニア州、ジョー・ウェッバー社長)が開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)試験管理システム「ワトソンLIMS」(商品名)を販売開始した。非臨床および臨床分野の薬物動態試験のプロトコル作成から測定の実施、結果データの取り込み、データ解析、レポート作成までの業務全体を効率化することができる。ウィンドウズとオラクルのクライアント/サーバー環境で利用でき、ソフト価格は2,000万円から。製薬会社や臨床試験受託機関(CRO)向けに、初年度5システムの販売を見込んでいる。
インナフェーズ社は1998年設立で、製薬向け研究所情報管理システム(LIMS)のスイート製品を開発しているソフトベンダー。今回、住商エレクトロニクスはインビボ(生体内)試験に特化した「ワトソンLIMS」の独占販売権を取得したが、そのほかにもインビトロ(試験管内)安全性試験に対応した「ガリレオLIMS」、製造段階の品質管理に対応できる「ニュートンLIMS」(開発中)などの製品がある。
ワトソンLIMSは、生体組織サンプルからの血中濃度測定など、ADME関連の生物試験に特化したシステムで、対象を絞り込んでいるため、カスタマイズなしで安く早く導入できるのが特徴。すでにバージョン7まで版を重ねており、欧米では大手製薬会社の9割がこのシステムを導入しているという。
具体的には、プロジェクト単位でADME試験そのものの管理をするシステムであり、プロトコルベースで試験のデザインを行い、実際の分析装置と連携できるワークリストファイルを作成する機能を持つ。ADME試験で用いられる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)、LC-MS/MS、放射性免疫測定器(RIA)、液体シンチレーション測定器(LSC)などの主要機器とのインターフェースが用意されており、ワークリストファイルを転送することですぐに測定を開始することが可能。結果データも自動的に取り込まれるので、人手によるチェックなどの作業がなくなり、分析業務が大幅に効率化されるという。
測定データの分析については、ノンコンパートメントモデルによるPK/TKパラメーター解析機能が内蔵されているが、コンパートメントモデル解析で多用されるWinNonlinとのインターフェースも備えている。また、解析結果をワードやエクセルに取り込んでのレポート作成を容易に行うことができる。ワードのテンプレート機能を利用すれば、さまざまなスタイルの報告書を簡単につくり分けることが可能。
さらに、測定結果のばらつきが大きい場合などに、再測定が必要かどうかを客観的かつ自動的に判定する機能もあり、実際に利用者の間では便利な機能として評価が高いようだ。もちろん、米食品医薬品局(FDA)の電子記録・電子署名に関する規制である“21CFRパート11”にも対応している。
住商エレクトロニクスでは、実験データの統合管理システムとして米ヌージェネシス社のシステムも扱っているため、両システムを統合利用する提案活動にも力を入れていく。両者はデータ管理のヌージェネシス、試験管理のインナフェーズという具合にちょうど補完し合う関係にあり、両方を組み合わせた導入事例としてはブリストルマイヤーズスクイブなどがあるという。