メタソフトが北大・田中教授らの“ミームメディア”を製品化
第1弾の三次元ウェブコンテンツ作成ツールを発売
2003.04.17−メタソフト(本社・東京都新宿区、吉田泰久代表取締役)は、北海道大学知識メディアラボラトリーの田中譲教授らのグループが推進している“Meme Media”(ミームメディア)構想を具体化した製品の第1弾として、三次元ウェブコンテンツ作成編集ツール「ミームコンポーザー」(商品名)および「ミームエディター」(同)の販売を4月末から開始する。製品化はシーズ・ラボ(本社・札幌市、山田二郎社長)が担当した。ウェブ版の電子マニュアルや電子カタログ作成などの用途を中心に、初年度1億円の販売を見込んでいる。
ミームメディアは、知識の共有と流通、再利用を容易にする新しいメディアの考え方で、例えば図や表が貼り込まれたいくつかの文書の中から必要な図表だけを取り出して別の文書に再構成するイメージだという。メディアを構成する要素(コンテンツ)がそれぞれに独立しており、複製や再構成・再利用が簡単に行えるという特徴がある。
1987年から研究がスタートし、“IntelligentPad”の名称で実用化が図られ、1993年にはIntelligentPadコンソーシアムが設立されている。一時期は富士通や日立ソフトウェアエンジニアリングから製品版が販売されたようだが、現在ではコンソーシアムが提供する体験版を利用することができる。
今回の「ミームコンポーザー/エディター」は、三次元への拡張を実現した“IntelligentBox”技術を利用して三次元ウェブコンテンツ作成編集ソフトに仕上げたもの。CADなどで設計した三次元形状データ(XVL、VRML、DXF)を取り込み、それをミームメディアとして部品化し、再構成・再利用できるようにした。作成した三次元コンテンツはウェブブラウザー上で操作することが可能。具体的には、“ボックス”と呼ばれる最小単位に形状を取り込み、それにさまざまな機能を与えることができる。回転や移動などの動作のほか、数値計算や論理演算、ファイル処理などのアルゴリズムをともなうものなど、用途に合わせた機能を選択して設定できる。
電子機器などの構成部品を“ボックス”に割り当てて組み合わせることにより、動きをともなった操作マニュアルや整備分解マニュアルなどを簡単に作成できる。各ボックスに振る舞いを定義するだけなのでプログラミング操作は一切不要。
ミームエディターは、動きを中心にした約30種類の機能ボックスを備えており、ミームコンポーザーは演算や論理処理の機能ボックスを含む80種類以上のフル機能を搭載していることに加え、他のアプリケーションと連携させるためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)も用意されている。
価格に関しては、パルティオソフトが開発した“ソフト電池”を採用しており、コンポーザーで1万円で1時間、エディターでは5,000円で1時間の動作が可能。電池が切れていると、データの保存ができなくなるという。
メタソフトでは、今回の製品を第1弾として「ミームメディアシリーズ」を順次製品化していく計画。統合ドキュメント作成を可能にする「ミームドキュメント」や「ミームディクショナリー」などを販売していく。また将来的には、ミームメディアを収集して流通できるようにする「ミームプール」の仕組みも提供していきたいとしている。