マイクロソフトがWindows Server2003を正式に市場投入
ハード・ソフト・SIパートナーを結集、対応製品一気に揃える
2003.06.26−マイクロソフトは25日、サーバー用OS(基本ソフト)の最新版「Windows Server2003」(ウィンドウズサーバー2003)の市場投入を本格的に開始すると正式発表した。これを搭載したハードウエア75機種、対応アプリケーション250種類もほぼ同時に提供開始される。前回のWindows2000サーバーの際は、同じ基準でみると対応製品は15機種/90種類しか揃っていなかった。とくに今回、同社ではIT(情報技術)業界全体をあげてWindows Server2003の立ち上げに協力していることを強調。市場のIT投資が冷え込んでいるなかで、自信と意気込みを示した。
会見のなかで、7月から日本法人社長に就任する米国本社のマイケル・ローディング副社長は、「Windows2000の時は、IT予算が拡大期にあり、導入効果を厳しく問われることはなかった。ところが、いまは状況が一変し、顧客は明確な効果を求め、しかもできるだけ出費を抑えようとしている。企業のIT予算全体の7割は既存システムの運用・保守に用いられており、新しいプロジェクトへの投資は控える方向にある」と市場を分析。「しかし、今回のWindows Server2003発売に当たっては、ハードウエアおよびソフトウエア、システムインテグレーターからなるパートナーの力がまさに結集されており、少ない投資で大きな効果をもたらすことを約束できる」と自信をみせた。
今回の開発に際して、マイクロソフトは100以上の顧客(国内ではJR東日本情報システムなど)との共同開発プログラムを実施、100万を超えるベータテスト(日本では12万)を行ってきた。ベータテストの期間はWindows2000サーバーの時よりも9ヵ月間長く、品質の向上を重視したという。また、セキュリティ面の強化も今回の最大のテーマの1つで、2億ドル以上を投じて設計全体を見直した。実際、コードの1行1行に責任を持つ開発者が割り当てられたということだ。さらに、ITインフラとしての30%以上の効率化を成し遂げており、例えば早期導入ユーザーの1社である大塚商会ではサーバー台数の半減を達成できたという。
とくに、今回の記者発表会で強調されたのは、Windows Server2003がいかに日本のIT業界から支持を受けているかということだ。具体的にユーザー/パートナーを代表する6名ものゲストを登壇させ、ビデオメッセージも25社分を流した。これは、かなり異例だといえる。
この成果として、NEC、沖電気工業、デルコンピュータ、東芝、日立製作所、日本IBM、日本ストラタステクノロジー、日本ヒューレット・パッカード、日本ユニシス、富士通、三菱インフォメーションテクノロジーの11社のハードウエアパートナーから、Windows Server2003プリインストール機が75モデル(うち64ビットのアイテニアム2搭載機が10モデル)提供される。Windows2000サーバーの発売時に提供されたハードは15モデルだった。
ISVパートナー各社からは、正式認定製品40種類を含む250種類の対応アプリケーションがラインアップされた。同様に、Windows2000サーバーの時には認定品が7種類、全部合わせて90種類しか揃っていなかったという。
販売およびSIパートナーに対しては、現在までに350社/7,000人を対象にしたトレーニングを完了させている。さらに、秋までに1万5,000人へのトレーニングを行うが、Windows2000サーバーの時は発売時で数10社にしかトレーニングしていなかったということだ。
長期間のベータテストを通して、早期導入ユーザーも決まってきており、今回はそれら13社の社名も公表されている。具体的には、大塚商会、カブドットコム証券、グローバルメディアオンライン、GMOホスティング&テクノロジーズ、三洋電機、JR東日本情報システム、JTB、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、NTTコミュニケーションズ、セイコーエプソン、ニッセン、富士写真フイルム、和光学園−の13社が早期導入を決定している。
ローディング次期社長は、Linuxとの競合優位性に関して、「Linuxを安くて安全だとする意見があるが、最近ではかなりLinuxもネットワーク上の攻撃対象になりつつある。われわれがWindows Server2003の開発に際して気をつかってきた以上に、Linuxのぜい弱性に関する徹底的な調査がなされてきたとは思えない。また、安いというのも間違いで、TCOを考えれば、Windowsより安いとはいえないはずだ」とコメントした。
なお、Windows Server2003には4種類のエディションがあり、「データセンターエディション」と「エンタープライズエディション」は64ビット版も提供される。それ以外に、部門サーバーなど多目的使用に適しているのが「スタンダードエディション」、ブレードサーバーなどとの組み合わせが最適な「ウェブエディション」がある。