NECがプロセス産業専門ERPの最新版を発売

プロセス産業特有の生産モデル・グローバル会計に対応

 2003.05.30−NECは、化学・医薬・食品などのプロセス産業に特化した独自開発のERP(エンタープライズリソースプランニング)パッケージ「FlexProcess」(フレックスプロセス)の最新版リリース5.0の販売・出荷を開始した。副産物や連産品が生じるなどのプロセス産業特有の生産モデルに対応し、多通貨・多言語のグローバルな会計システムを組み込んでいることが特徴。とくに、今回の最新版はマイクロソフトの“ドットネットフレームワーク”に準拠させ、XMLを含めて他システムとの連携性を高めた。アジア市場での販売戦略も強化し、3年間で240サイトへの導入を目指していく。

 フレックスプロセスは、旧マーカム社が開発した「プロティアン」と呼ばれるパッケージが前身で、2001年にNECがソースコードを含めたライセンスを買い取ったもの。当時のバージョンはプロティアン3.1で、2001年12月に発売した4.0から商品名をフレックスプロセスに変更した。これには、NECが開発した会計モジュールが付加されていたが、生産管理系のモジュールは変わっていなかったため、今回の5.0が全体をNECの手でリニューアルした最初のバージョンということになる。

 部品表と工程表を基盤にした一般的な生産管理では、副産物やリサイクル品、パイプライン生産、バッチ混合生産などのプロセス産業特有の生産工程に対応させることは難しい。フレックスプロセスでは、ビジュアルにプロセスフローを描くかたちで生産工程をモデル化できるので、現実に則した柔軟な生産管理を行うことが可能。

 また、会計システムがグローバル対応しているため、むしろこちらを中心に導入するユーザーも少なくないという。

 今回の最新版での機能強化は、ドットネットフレームワークへの対応と、データ交換の標準技術としてXMLを採用したことがポイント。ドットネットに準拠した他システムとの統合化が容易であるほか、XMLを使って異なるプラットホーム上のアプリケーションとも自由にデータ交換が行えるようになった。

 NECでは、シンガポールにある100%子会社のオブテック社(マイケル・リム社長)を通して、東南アジアに進出している日系企業を中心にフレックスプロセスの販売活動を展開中。今後は、現地資本のプロセス企業への提案活動も強化していく。同時に、中国および米国市場にも本格的に参入していく考えで、今年は具体的なパートナーづくりを進める。中国向けには、年内にも本格事業化を果たしたいという。