新日鉄ソリューションズが製薬企業向けITソリューション事業に進出

日本MDLおよびセラーテムテクノロジーと提携、創薬ナレッジシステムを構築

 2003.09.18−新日鉄ソリューションズは、製薬会社向けのトータルIT(情報技術)ソリューションサービスに本格的に乗り出す。日本MDLインフォメーションシステムズおよびセラーテムテクノロジーと提携し、創薬研究において取り扱う化合物情報と生物学的アッセイ試験データ、生体組織の電子顕微鏡写真などの画像データを統合する「創薬ナレッジポータルシステム」の提案活動を開始した。ナレッジを体系化してシステム構想をまとめるITコンサルティングから、具体的なシステムの設計・開発・運用保守までライフサイクル全般にわたるトータルサービスとして提供するもの。実際には幅広いシステム化ニーズに応じていく。

 今回のシステムは、日本MDLが提供しているアッセイデータ管理システム「アッセイエクスプローラー」(商品名)と、セラーテムテクノロジーの子会社である米エクステンシスが開発した高速画像データベースシステム「ポートフォリオ」(同)を統合したもの。アッセイデータを登録する際に、関連する画像データを結びつけておくことにより、測定値と画像を統合した“知識”管理が可能になる。

 画像データにはキーワードを付すこともできるので、アッセイデータから関連画像を引き出すだけでなく、画像データのキーワード検索も簡単に行える。とくに、ヒットした画像をブラウザー上に動的にサムネイル表示する技術は「ポートフォリオ」の特徴を生かしたもの。画像の拡大・縮小にはセラーテム独自の“ピクセルライブ技術”を利用しており、高精細でファイルサイズの大きな画像を高速に扱うことができる。オリジナルを拡大表示してもほとんどノイズがみられないのが特徴で、画像の細かな部分まで精密に観察することができる。画像にアクセス制限などのセキュリティをかけることも可能で、その意味でも機密性の高い研究用途に適している。

 今回、実際の創薬研究現場では、アッセイデータと画像を関連させたいニーズが多いと判断して、新日鉄ソリューションズの音頭で3社合同のソリューションが実現した。ただ、同社ではこのシステムは一つの事例あるいはコア技術であると位置づけており、具体的なビジネスにおいてはコンサルティングから設計・開発・運用保守までの総合力を武器にして、幅広い案件獲得に結びつけていきたい考えだ。