インフォコムがADMEデータベース製品を世界同時販売

米国合弁のライトハウス社で製品化、FDA承認薬のADMEデータを収録

 2003.10.31−インフォコムは、米国合弁会社であるライトハウスデータソリューションズ(本社・ペンシルバニア州、ロバート・ポールソン社長)で製品化したADME(吸収・分布・代謝・排出)データベース「The ADME Index」(ADMEインデックス)の販売を世界同時に開始した。既存の代表的な医薬品に関するADME特性を統一的なプロトコルで試験しなおしたもので、新薬の研究や開発において、候補化合物の薬物特性を予測・検討する際などに役立つ。利用料金は年間購読制で、初年度450万円。

 開発元のライトハウスデータソリューションズは、インフォコムアメリカと受託試験機関である米アブソープションシステムズとの合弁会社で、「ADMEインデックス」が最初の製品となる。この10月に日本の薬物動態学会と米国薬学会(AAPS)で実際の製品を展示し、本格的な販売活動に入った。日本国内ではインフォコムが、欧米ではアブソープション社のルートで代理店などを介して販売を行っていく。

 今回のADMEインデックスは、製薬業界の標準的なデータベース(DB)製品であるMDLインフォメーションシステムズ社の統合化学情報管理システム「ISIS」専用コンテンツとして製品化されており、利用するためにはISISが必要。

 データ内容としては、米食品医薬品局(FDA)が過去に承認した実際の医薬品を再試験したもので、現時点では約200化合物に関する“Caco-2”(ヒトの膜透過係数)、“ヒトの代謝安定性”と“ラットの代謝安定性”−の3種類のデータが収められている。この分野の試験機関として豊富な実績とノウハウを持つアブソープション社が実際の試験を担当しており、実験条件が統一されていることに加え、通常は一方向のみのCaco-2膜透過試験を双方向で実施するなど、試験内容自体もかなり練られたものになっているという。

 ライトハウス社では、FDAが承認した約2,000種類の医薬品を順次試験するとともに、治験中の化合物や臨床段階で製品化が断念された化合物群などにも対象を広げていく考え。データは3ヵ月ごとに50化合物ずつ追加していく予定である。収録するデータの種類も、将来的にはたん白質結合やP450代謝、血液脳関門(BBB)など、随時増やしていく。

 また、ADME専門家向けに、DBのもとになった生の試験データを収録したプロフェッショナル版の発売も予定している。基礎データを使って分析や計算を独自に行いたいという要求に応えるもので、試験方法に関する詳細情報も合わせて提供する。

 現在のADMEインデックスは、データを検索して閲覧することがメインだが、ユーザーが自分のADME情報を登録したいというニーズが出てくることも予想されるため、インフォコムでは統合システム化の企画を進めるとともに、データ統合サービスなどへの展開も含めてさまざまな事業へと発展させることを検討している。