NECソフトがバイオ研究の自動化ツールを開発

スクリプトで作業手順を作成、自由度の高さが特徴

 2004.05.14−NECソフトは13日、バイオ研究者がデータベース(DB)を検索したり解析作業を行ったりする手順を自動的に実行できるようにする研究支援ツール「BioWorkbench」(バイオワークベンチ)を開発、7月末から販売開始すると発表した。研究者はコンピューターの面倒な操作から解放され、本来の研究活動に専念できる。ソフトウエアの価格はサーバーライセンスで500万円。ユーザー数は制限がない。同社では、関連するSI(システムインテグレーション)サービスなども含めて今後3年間に6億円の売り上げを見込んでいる。

 バイオワークベンチは、Javaスクリプトを利用して複数のバッチジョブを自動的に実行させる機能を持つ。複数のDBを一斉に検索してその結果を比較したり、ある検索結果を利用して別のDBを検索したりすることが容易。解析の場合でも、BLAST処理の結果をClustalWに渡し、さらにHMMERを動作させるなどの一連の解析手順を自動化できる。

 システムのプラットホームとして、「セマンティックオブジェクツ」を組み込んでおり、自由度の高さが特徴。思い付いたワークフローを研究者自身がすぐに実装して試すことができ、条件などを変えて同じ手順を繰り返し実行させることも簡単に行える。また、ユーザー独自の解析ツールやDBも柔軟に組み込める。Javaスクリプトがわからないユーザーには、NECソフト側で作成代行サービスを提供するが、将来的にはグラフィカルにアイコンをつなぐだけでワークフローを記述できる専用エディターを用意することも検討中だという。

 個々の研究者は、それぞれ独立した作業空間を利用でき、自由に階層別のフォルダー管理を行うことで、個人の研究に関する情報を効率的に管理できる。この作業空間には利用者自身がアクセス権限を設定できるので、セキュリティ面も万全。必要に応じてグループ間などで情報を共有することも可能である。

 さらに、バイオ関連の各種公共DBをインハウスに取り込み常に最新の状態に更新させる日本SGIの「BioSerendip」(バイオセレンディップ)との連携も可能にしている。

 動作環境は、サーバー側がLinuxまたはWindowsで、DBソフトとしてOracle9iまたはPostgreSQLが必要。ウェブアプリケーションサーバーとして、VOBS Enhydra 5.1SEまたはApache Tomcat 4.1以上を使用する。ユーザー側はウェブブラウザーだけで利用できる。