ターボリナックスが初の本格的な家庭向けLinuxを製品化

ストリーミング映像などブロードバンドコンテンツを楽しむことが可能

 2004.04.29−ターボリナックス(本社・東京都渋谷区、矢野広一社長)は、本格的なコンシューマー用途向けのLinuxディストリビューションとして、「Turbolinux 10F...」(商品名)を開発、5月28日に発売する。Linuxとして初めて、ブロードバンドコンテンツ再生などのマルチメディア機能を搭載しており、複数のハードベンダーからこれをプリインストールしたノートパソコンなどの製品化も予定されている。同社では昨年10月にオフィス用途でのウィンドウズ置き換えを狙った「同10 Desktop」を発売しており、家庭用途を意識した今回の「10F...」が戦列に加わったことで、ウィンドウズ一色のデスクトップ市場へなんとか一石を投じたいとしている。

 昨年10月のTurbolinux 10 Desktopでは、見た目や操作感をウィンドウズとそっくりにし、マイクロソフトオフィス互換の「スタースイート」(サン・マイクロシステムズ)をバンドルするなど、企業ユーザーのクライアントマシンの置き換えを主なターゲットとしていた。しかし、個人ユーザーがインターネットのウェブサイトを楽しむ場合、これまでのLinuxでは動画ストリーミングや音楽データ、フラッシュなどのマルチメディアコンテンツを再生することができなかったため、家庭用途を考えた時に大きな弱点になっていたという。

 そこで今回のTurbolinux 10F...では、代表的なストリーミング形式であるマイクロソフトの“ウィンドウズメディア”およびリアルネットワークスの“リアルメディア”を再生できるプレーヤーを標準装備。とくに、ウィンドウズメディアに関してはマイクロソフトから正式にライセンスを受け、互換プレーヤーである「ターボメディアプレーヤー」を独自に開発して盛り込んだ。また、マクロメディアのフラッシュ形式のコンテンツを楽しむためのフラッシュプレーヤーを内蔵したほか、インターネット上で入手できるJavaアプレットを使ったゲームプログラムなども動作できるようにした。

 ウィンドウズに付属しているインスタントメッセンジャーも搭載しており、ウィンドウズユーザーとの間でも日本語でチャットを楽しむことが可能。

 さらに、映画などのDVDビデオを再生するために、サイバーリンクの「PowerDVD」を世界で初めてLinuxにバンドルした。もとの英語版をベースに設定画面などの日本語化を実現しており、同社の側で動作検証やバグフィックスなどの作業に協力したという。また、携帯型オーディオプレーヤーのベストセラーであるアップルの「iPod」との連携も可能にしている。ケーブルでつなぐだけで自動的に認識され(最初の1回だけマウント操作が必要)、音楽データの追加・削除やプレイリスとの編集がパソコン上で行える。

 そのほかにも、デジカメ画像の取り込みや画像編集、CD/DVD作成など、家庭用途で必要になりそうなアプリケーションは一通りバンドルされている。

 価格は「10 Desktop」と同じ1万6,590円で、60日間のインストールサポート付き。既存の「10 Desktop」ユーザーのための拡張パック「10 D2F...」も用意しており、こちらは7,140円で提供する。なお、商品名の「10F...」は、ユーザー自身が自分の「F」をみつけてほしいという思いがこめられているという。「F」が意味するところは写真を参照されたい。