2004年秋期CCS特集:インフォコム

ニーズの変化に即応、パスウェイ解析から薬物設計まで先端ツール提供

 2004.12.13−インフォコムは、創薬研究分野のあらゆる領域に対する最適なソリューション提供を志向しており、その時その時で注目されている技術や方法論の変化を敏感に感じ取って、積極的に新製品の導入を進めている。

 とくに、バイオインフォマティクス分野はゲノム解析からプロテオーム解析を経て、最近では遺伝子間の相互作用解析、代謝や制御などのパスウェイ解析へと研究のステージが進展している。このため、同社ではそれに合わせた新製品群を投入しはじめた。

 まずは、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの堀本勝久特任教授らと共同開発した遺伝子ネットワーク推定システム「ASIAN」をベースにした自社パッケージ「オートネットファインダー」を販売開始している。階層的クラスタリングと偏相関係数を用いたグラフィカルガウシアンモデリング(GGM)法を組み合わせており、高速かつ高精度に遺伝子ネットワークを推定することが可能。

 また、パスウェイ情報を可視化するテキストマイニングツール「パスウェイアシスト」(アリアドネゲノミクス社)も利用できるコンテンツが増強され、ますます価値が高まってきた。ジーンゴー社の「MetaCore」はヒトの疾患情報を含むパスウェイデータベースで機械的に情報を集めたのではなく、専門家が実際に文献などを読んでつくり上げたもの。5,000以上のヒトに特有の代謝パスウェイと、1万1,000以上の代謝反応および代謝物などの豊富なデータを収録している。また、インテグレーテッドゲノミクス社の「メタボリックビジョン」は比較ゲノミクス解析によって構築して包括的パスウェイデータベースで、70以上の微生物にかかわる遺伝子から接続された約5,000の機能的役割に関する情報を含んでいる。どちらもパスウェイアシストから利用することができる。

 一方、実際の創薬ターゲットに対する医薬化合物の設計を支援するためのCCSツールがシュレーディンガー社の一連の製品群。来年1月からは全製品がバージョンアップされるが、定評のあるストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)機能に一層の磨きがかかることになる。とくに、薬物と受容体たん白質との高速ドッキングシステム「Glide」は競合製品が多いなかでも高い評価を保っている。ターゲットたん白質の構造が判明していない場合でも、「Prime」によって立体構造を高精度に予測することが可能。

 今回のバージョンアップでは、新製品「Phase」の登場によってリガンドベースドラッグデザイン(LBDD)への発展がなされたことも見逃せない。ファーマコフォアモデルを作成し、それに基づいた各種のドラッグデザイン機能を統合したシステムで、化合物の重ね合わせやデータベース検索、3次元QSAR(構造活性相関)による薬理活性予測などの豊富な機能を持つ。強力なカスタマイズ機能も特徴。

 また、シュレーディンガー製品の共通GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)である「Maestro」はスクリプト言語として利用者の多いPythonをサポートした。いろいろな機能をユーザーが自由に組み込むことが可能になり、カスタマイズ環境がかなり強力になったといえる。

 シュレーディンガーは最近最も勢いのあるCCSベンダーの1社で、来年もどんどん新製品が出てくるということだ。