インフォコムが遺伝子ネットワーク推定ソフトを自社パッケージ化

オムニビズおよびアリアドネと共同ソリューション展開、海外でも販売へ

 2004.12.14−インフォコムは、新しい解析手法を組み込んだ遺伝子ネットワーク推定ソフト「Auto Net Finder」(オートネットファインダー)を製品化し、来年1月から米国を含めた世界市場での販売活動を開始する。同社が東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの堀本勝久特任教授らの研究グループと共同で開発した「ASIAN」をベースに機能強化を施したもので、統合的なパスウェイ解析ソリューションとして利用できる。国内・海外を合わせて初年度に200ライセンスの販売を見込んでいる。

 オートネットファインダーは、遺伝子間の相互作用ネットワーク(パスウェイ)を推定するためのソフトで、マイクロアレイによる遺伝子発現解析データを高速で処理するために用いられる。階層的クラスタリングなどの従来の発現プロファイリング手法に加えて、多変量解析の新手法である“グラフィカルガウシアンモデリング”(GGM)を統合することにより、パソコンで大量のデータ解析が高速に行えるようにした。

 また、パラメーター間の直接的な相関と間接的な関係を区別できる偏相関係数を用いているため、ネットワーク推定の精度の高さも特徴となっている。

 堀本特任教授らと共同開発したASIANは汎用の統計解析ツールとして使用できるが、インフォコムではさらにアルゴリズムを高速化し、パスウェイ解析に特化したアプリケーションに仕上げることでオートネットファインダーとしての製品化を実現した。

 一方で、インフォコムはライフサイエンス分野で実績豊富な米オムニビズのデータマイニングツール「OmniViz」、米アリアドネゲノミクスが開発したパスウェイ可視化ツール「パスウェイアシスト」を国内で販売しているが、今回のオートネットファインダーを組み合わせることで一段と高機能な統合パスウェイ解析ソリューションに発展させることが可能だという。

 このため、国内でセット販売を推進するとともに、海外の両開発元と提携して、三社共同でのソリューション展開を進めることにした。具体的には、OmniVizあるいはパスウェイアシストにオートネットファインダーが組み込まれて販売されるかたちになる。バイオインフォマティクス市場では、国内のソフトが海外で販売された例はほとんどないため、今回の提携の成果が注目される。