NECがMolStudioの最新版リリース4を発売
たん白質機能を強化、サイトライセンス新設で大量導入狙う
2004.10.01−NECは、分子軌道法(MO)計算専用グラフィックシステム「MolStudio」の最新版リリース4を10月15日に発売する。とくに、大規模な分子を扱うための機能強化が施されており、プロテインデータバンク(PDB)ファイルの読み込み、たん白質立体構造の高速描画など、生体高分子を快適に操作できるようになった。また、今回から新たにサイトライセンス契約を設け、研究所または大学などの教育機関での大量導入を積極的に狙っていく。
MolStudioは、代表的なMOプログラムである「GAUSSIAN」専用のプリポストシステムで、マウス操作で簡単に入力データを作成して、パソコン内部あるいはネットワークで接続された外部UNIXサーバー内のGAUSSIANに対して計算を実行させることが可能。また、計算結果を取得し、分子軌道や電子密度、振動解析、双極子モーメント、静電ポテンシャルなどを三次元グラフィックで表示し、さまざまに解析することができる。
今回のリリース4では、電荷分布や反応座標、軌道エネルギー準位図など、新たな可視化機能も追加されている。さらに、たん白質をストレスなく扱えるようにするため、高速描画、回転、拡大などのグラフィック能力が大幅に高速化された。
シングルライセンスの価格は、一般向け9万8,000円、アカデミック8万円だが、最近では大学などでの教育用に導入したいとの引き合いが増えてきており、今回からサイトライセンスも用意した。S、M、Lの3種類があり、Sは5ユーザーの同時使用権で40万円、Mは単一施設内限定の同時80ユーザーで80万円、Lは複数施設にまたがるユーザー数無制限で120万円となっている。リリース4でメニューが日本語化されたのも、この用途では歓迎されそう。
一方、欧州には同社のスーパーコンピューターSXシリーズのユーザーが多く、GAUSSIANを利用する際にMolStudioを使いたいという声が多いという。そのため、欧州市場でもこのサイトライセンスを積極的に展開していく方針。同社では、国内と海外を含めて2006年3月までに1,000ユーザーへの販売を見込んでいる。