NECソフトがプロテオミクス研究支援ソフトProteoFinder

徳島大との共同研究成果を製品化、MSデータから高速にたん白質を同定

 2004.10.13−NECソフトは12日、プロテオーム解析の研究プロセスを大幅に効率化できる「ProteoFinder」(プロテオファインダー)を製品化し、11月1日から発売すると発表した。文部科学省・知的クラスター創成事業「徳島プロテオミクスファクトリー」の研究成果をベースにしたもので、開発元は徳島大学発ベンチャーのバイオソリューション(澤島隆社長)、NECソフトが独占販売を行う。プロテオーム研究のボトルネックとなりつつあるたん白質同定作業を高度に自動化できるのが特徴で、ソフト価格は基本パッケージが200万円(アカデミック125万円)。今後3年間に2億円の販売を見込んでいる。

 今回のProteoFinderは、「徳島プロテオミクスファクトリー」における「シグナル伝達チップによる疾患プロテオミクス解析技術の開発とそのビジネス化」(プロジェクトリーダー・谷口寿章徳島大学分子酵素学研究センター教授)プロジェクトの一環として開発された。同プロジェクトには「プロテオミクス解析のための支援ソフトウエアの開発とそのビジネス化」、「リン酸化たん白質の修飾部位の解析法の開発とそのビジネス化」、「プロテオミクス解析のための試料前処理装置の開発」−の3つのサブプロジェクトが走っており、NECソフトは今年の1月に1つ目のプロジェクトに参加し、バイオソリューションとともにシステムの製品化を進めてきた。

 ProteoFinderは、質量分析(MS)データからのたん白質同定作業を支援する機能を中心に、サンプル管理やプロジェクト管理などの研究情報統合管理システム(LIMS)機能も備えている。とくに、MSデータから導かれるピークリストには実際のたん白質ではない偽陽性データが混在しているが、独自アルゴリズムによって自動的にキャリブレーションを繰り返して偽陽性をふるい落とし、データの精度を高めることが可能。また、得られたピークリストに含まれるペプチドを一覧表示したり、サンプルの年令・性別・病歴などの情報を参照したりすることも容易で、熟練研究者の対話的な作業を効率良く支援してくれる。

 MSデータからのたん白質の同定では、英マトリックスサイエンスのMASCOTが標準的に使われる場合も多いが、ProteoFinderはMASCOTを補完する機能を持っており、組み合わせて使うことによって、プロテオーム研究を大幅にスピードアップさせることができるという。

 このため、販売に関しては、国内にも数多いMASCOTユーザーをターゲットにしていく計画。具体的な販路としては、科学機器や試薬などの販社のルートを利用する予定で、全国40数社との間で販売契約を結びつつある。