菱化システムが量子化学計算専用PCクラスター発売

代表的な量子化学プログラムをサポート、ハード・ソフト設定済みで即稼働

 2004.12.02−菱化システムは、米パラレルクワンタムソリューション(PQS、本社・アーカンソー州)が開発した量子化学計算専用のPCクラスターマシン「QuantumCube」の国内販売権を取得し、このほど本格的に販売を開始した。量子化学計算を行うために必要な機能や環境が整っており、すぐに利用をはじめることができる。サードパーティー製のソフトも動作可能で、菱化システムでは計算化学のターンキーシステムとして戦略的な価格設定を行い、広く普及を図っていく。

 PQS社は1997年の設立で、これまでに300台ほどの出荷実績があるという。今回発売したのは最新機種で、CPU(中央処理装置)の違いで標準版と拡張版があり、標準版はオプテロン(1.8ギガヘルツ)かジーオン(2.8ギガヘルツ)を選択できる。拡張版はオプテロン(2.0ギガヘルツ)になる。4CPUモデルがスタンダードだが、8CPUや16CPUの構成をとることも可能。(別表参照)

 ディスプレーも付属し、PCクラスターを動作させるための環境設定もすべて行われているので、ユーザーはほとんど電源をオンするだけで量子化学計算を開始することができる。

 標準装備されたPQS独自の量子化学プログラムは、並列化効率と構造最適化ルーチンの良さが特徴で、ハートリーフォック法や密度汎関数法による構造最適化、MP2法、NMR化学シフト計算など一通りの機能を備えている。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境も持っており、分子モデルの構築や入力ファイルの作成、計算実行時の並列化制御、計算結果のグラフィック表示などの機能がある。

 また、サードパーティーの主要量子計算プログラムが利用できるのも特徴で、菱化システムが販売権を持っているSCM社のADF、コスモロジックのCOSMOtherm、マテリアルデザインのMedeA-VASP、ガウシアンのGaussian03についてはプリインストールして提供することも可能だという(Gaussian03だけはバンドル提供)。開発元のPQS社では、この他にもシュレーディンガーのJaguar、キューケムのQ-Chem、ウェイブファンクションのSpartanなども動かせるように提携を行っている。

 一般に、PCクラスターでアプリケーションを動作させるためには、ユーザー側で細かなチューニングや設定を行う必要があるため、代表的な量子化学プログラムがすぐに動くようにサポートされていることは、それだけでもかなり大きな意味があるといえそうだ。手軽な計算機実験マシンとして、広く普及が期待される。

 価格は、来年3月までのキャンペーンで4CPU標準版が一式、144万9,000円(アカデミック130万4,100円)、4CPU拡張版が199万5,000円(同179万5,500円)。

QuantumCubeのハードウエア構成

資料:菱化システム

  4CPU標準版 4CPU拡張版
プロセッサー Opteron 1.8GHz Xeon 2.8GHz Opteron 2.0GHz
メモリー PC2700-DDR 2GB PC2100-DDR 2GB PC2700-DDR 8GB
ディスク シリアルATA 480GB シリアルATA 800GB
ビデオメモリー 64MB以上 128MB以上
ネットワーク 内部:1000Mbps 内部:1000Mbps 内部:1000Mbps
  外部:10/100/1000Mbps 外部:10/100Mbps 外部:10/100/1000Mbps
ドライブ CD-RW、4ポートUSB2 フロッピー/Zip、CD-RW CD-RW、4ポートUSB2
その他 17インチ液晶モニター、キーボード、マウス