ターボリナックスが初の家庭向けLinuxディストリビューションを製品化
独特なデスクトップ環境を実現、はがき作成ソフトを初めて搭載
2004.10.23−ターボリナックスは、パソコン初心者を対象にした初の本格的な家庭向けLinuxディストリビューション「ターボリナックスホーム」(商品名)を開発、11月12日から販売を開始する。大きなアイコンを使った専用のデスクトップ画面を備えており、インターネット、メール、デジカメ写真編集、はがき作成というホームユーザーの主な用途すべてをカバーできるアプリケーションをバンドル。パソコンに不慣れな初心者がそのまま簡単に使えるように工夫した。価格は1万6,590円で、年間3万本の販売を見込んでいる。
同社は、昨年10月の「Turbolinux 10 Desktop」、今年5月の「Turbolinux 10F...」とLinuxのデスクトップ製品を相次いで発売してきたが、これらはWindowsにそっくりの見た目や操作感を実現することで、既存のWindowsユーザーを置き換えることを狙いとしていた。それに対して、今回の「ターボリナックスホーム」(商品名もカタカナにしている)は、子供や熟年層などこれから自分専用のパソコンを持とうとする人たちをターゲットにしたもの。
このため、あえてWindowsに似せることを止め、初心者にとっての使いやすさを優先させた専用のデスクトップ環境を導入した。パステル調の画面内には、「インターネット」、「メールを読む・書く」、「チャット」、「写真を取り込む」、「写真の編集」、「ハガキ・年賀状を作る」、「文章を書く」、「動画を見る」、「その他のソフトを使う」−の9つのアイコンが並び、画面の下部には「使い方」、「困ったら」、「設定」という3つのボタンが配置されている。
アイコンを押すと、それに対応したアプリケーションが起動する仕組み。インターネット上のデジタルコンテンツを楽しむための各種プレーヤーの内蔵などはTurbolinux 10F...と同じであり、今回の目玉は国内シェアトップのはがき作成ソフト「筆ぐるめ」(富士ソフトABC)をバンドルしたこと。現在では9割の人がパソコンで年賀状を作成しているといわれており、このソフトが搭載されたことは家庭用途ではかなり大きなポイントになる。また、日本語変換ソフトの「ATOK」(ジャストシステム)もWindows用の最新版「ATOK17」相当に機能強化された。
プリンターは、エプソンコーワおよびキヤノンの協力により、はがきでのふちなし印刷をLinuxで初めて可能にした。デジタルカメラもドライバーなしでUSB接続できるようにするなど、初心者に難しい操作を強いることがないように配慮が払われている。
今回のターボリナックスホームのデスクトップ環境は、Windows95などの初期の時代に各パソコンメーカーが独自のデスクトップ環境をラッピングして提供した時のコンセプトに酷似している。Windowsのデスクトップを覆い隠すことで初心者に配慮したというものだったが、その後にすっかり廃れてしまったことが多少気掛かりな点だろう。今回の製品は、Linuxとしてはかなり冒険的な試みであり、市場での評価が注目される。
なお、同社では今回の製品の発売を機に、アイドルタレントの福下恵美(ふくしためぐみ)さんをイメージガールに起用し、「リナックス普及委員会」の会長に任命。これからの1年間にわたって、Linuxの普及・宣伝をマルチに展開していく計画である。
記者会見で福下恵美さんは、「自宅のWindowsマシンはウイルスに感染してから調子が悪い。Linuxにはウイルスがないというのは良いと思う。家で、WindowsとLinuxを並べて使ってみたが、Linuxの方がさくさく動いて軽快だった」などと話した。