リミックスポイントがバイオ向け画像管理ソリューション

かずさDNA研のInGaPに採用、DB管理・公開までのワークフロー機能統合

 2005.01.21−リミックスポイント(本社・東京都港区、吉川登社長)は、バイオテクノロジー研究における大量の画像データを効率良く管理し、アノテーション情報を付加するなどして、検索および情報共有をウェブベースでスマートに行えるようにする「GalapagosDB」(ガラパゴスDB)を開発、販売を開始した。かずさDNA研究所の公開データベース(DB)サービス「InGaP」向けに開発したシステムをパッケージ化したもので、DBの作成・登録・管理を一貫して行うことができる。とくに利用者の立場から検索しやすくみやすいウェブインターフェースを実現していることが特徴。管理や再利用が難しかった画像を扱うことができるため、製薬などの民間企業の社内システム用にも売り込んでいく。

 リミックスポイントは、デジタル画像技術を中心にしたテクノロジーベンダーで、昨年3月にセラーテムテクノロジーから分離・独立した。現在の社員数は9名で、バイオインフォマティクスのほか、防犯セキュリティ、モバイルソリューション、コンテンツアーカイブなどの分野でビジネスを展開している。

 かずさDNA研究所とのプロジェクトは、新日鉄ソリューションズとの連携のもとに実施したもの。かずさDNA研究所は、昨年9月にマウス長鎖cDNAクローンや抗体に関するDB「InGaP」(http://www.kazusa.or.jp/ingap/)を構築し、国内外の研究者が自由に閲覧できるようインターネット上で公開した。同研究所が保有する約2,000種のヒト長鎖cDNA(KIAAクローン)に相応する約1,000のマウス長鎖cDNAクローンやそれがコードするたん白質に対応する約120の抗体を取得・整備しており、脳・神経あるいは各種臓器にかかわる疾患研究への応用を考慮して、電気泳動や顕微鏡写真をはじめとした1万点以上の画像データを蓄積していることが大きな特徴となっている。

 ただ、現在のInGaPは、画像表示のスピードや画面のみやすさ・わかりやすさなどのインターフェース面で課題があり、そのリニューアルの目的でリミックスポイントのソリューションが採用された。

 刷新されたサービスはまだ正式公開前だが、サイト(http://www.kazusa.or.jp/ingap2/)は稼働しており、実際に検索を試すこともできる。デザイン的にも洗練されたウェブページに変わっており、検索メニューが左側に、検索結果は右側のフレームに表示されるため、非常に使いやすくなった。また、検索でヒットしたリストの状態で個々のデータに含まれる画像がサムネール表示されるため、自分に必要な情報がすぐに視覚的に認識できるという特徴がある。ページの見た目や使い勝手は、同社が手がけた多数のウェブデザインのノウハウが反映されているという。

 この新InGaPは、収録する抗体の数を2,000−3,000に増やすなど、情報量を大幅に拡充したうえで、今年の夏に正式公開する予定になっている。

 さて、この新InGaPに採用された技術をパッケージ化したのが今回の「GalapagosDB」で、画像データの管理からウェブへのDB公開まで、一連の作業手順をワークフローとして支援する機能を持っている。画像の登録は研究者自身が行うことができ、ある程度まとまったところで管理者が公開を承認するといったプロセスも容易に実現できる。また、閲覧者を含めたユーザー権限の管理を管理者側で集中的に行うことができるため、ユーザーに応じて利用できる機能を制限したり、特定の関心を持つコミュニティを設けたりすることも簡単に行える。

 動作環境は、ソラリスまたはLinuxで、DBソフトとしてPostgreSQLまたはオラクルが必要。標準のフレームワークを使っているため開発期間が短く、低コストで構築できることも特徴となる。実際、新InGaPの構築期間はわずか1ヵ月だったという。同社では今回の実績をテコにバイオ分野での事業展開を強化したい考え。大量の画像データを死蔵させずに有効利用したいニーズに向けて、積極的にソリューション提案を進めていく。