ニイウスがBlueGene/L国内1号機を導入し商用サービス開始
7月からユーティリティコンピューティングを提供、金融分野など的
2005.02.28−ニイウス(本社・東京都中央区、末貞郁夫社長)は、IBMが製品化した世界最高速のスーパーコンピューター「BlueGene/L」(ブルージーン)の国内1号機を導入し、電気や水道のように必要な時に必要なだけの計算パワーを供給する“ユーティリティコンピューティング”サービスを7月にも開始する。東京に開設した「グリッド/オートノミックコンピューティングセンター」に設置したブルージーン1号機を25日に初公開し、事業戦略を明らかにしたもの。今後、沖縄の名護と浦添、さらに札幌にセンターを設け、それぞれにブルージーンを追加導入してサービス体制を整える。ブルージーンはもともとたん白質構造解析などの科学技術計算用に開発されたマシンだが、同社ではとくに金融分野などのビジネス需要を狙っていくことにしている。
ニイウスは、IBMの大型UNIXサーバーを中心にした国内トップディーラーの1社。現在、事業戦略を大幅に転換中で、金融や医療分野に専門特化した業務アプリケーション提供や、オートノミックコンピューティング対応の高度なSE(システムエンジニア)サービスなど、付加価値の高いビジネスへシフトする計画を押し進めている。今回のセンター開設やブルージーン導入も、そうした戦略の一環。
ブルージーンは、IBMが開発した三次元トーラス型の超並列スーパーコンピューターで、米国エネルギー省で稼働中の機体が、日本の地球シミュレーターを超える世界最高速70.72テラFLOPS(1テラFLOPSは毎秒1兆回の浮動小数点演算を実行)を実現している。最大性能としては、6万5,000プロセッサーで360テラFLOPSを叩き出す予定。プロセッサーには、あえて2世代前のPowerPCを採用しており、高性能ながらコンパクトで消費電力が低く、通常のオフィス環境に設置できるという特徴がある。IBMは今年になって、これを「IBM eServer Blue Gene Solution」として正式に製品化している。
今回、ニイウスが導入した国内1号機は1,024プロセッサーのシングルラック構成で、ピーク性能は5.6テラFLOPS。東京以外の3センターには、128プロセッサー程度の小規模構成のマシンを導入する予定。同社が独自に性能比較を行ったところ、性能面で同等のブレードサーバー(IBMのブレードセンター)と比べた場合、128プロセッサーあたりからブルージーンのメリットが出はじめるという。とくに、1,024プロセッサー構成のマシンでは、11ラック/470ノード構成のブレードセンターとほぼ同性能となるが、その場合の消費電力は6分の1、設置面積は4分の1、本体重量も6分の1となり、大きな差が生じる。このため、128プロセッサーを最小構成として導入することにしたという。
事業としては、ブルージーン自体のハードウエア販売をまず開始し、7月に名護センターが完成したタイミングで、ユーティリティーコンピューティングサービスをスタートさせる。その場合の利用料金などはまだ決まっていないという。拠点となる「グリッド/オートノミックコンピューティングセンター」は、IBMのオートノミック技術によって高度な仮想化や自律化が実現されている。物理的には4センターに分かれているが、全体をひとつの巨大なリソースとして扱うことができる。
同社では、大規模な計算を常時流し続ける科学技術分野に対して、一時的に計算需要が極大化するビジネス分野はユーティリティコンピューティングの対象市場に適しているとしている。とくに、大規模な金融機関が定期的に実施するリスク管理などの計算需要をとらえていく考え。