菱化システムがデイライトの化学DBツール群を発売

MOEおよびKDEと統合して提供、使いやすい研究環境実現

 2005.04.02−菱化システムは、化学データベース管理システムベンダーの米デイライトケミカルインフォメーションシステムズと代理店契約を締結、4月から国内での販売活動を開始した。デイライト製品は、大量の化合物データを保存・管理し、高速で処理するためのツール群から構成されており、幅広いコンピューターケミストリーアプリケーションのプラットホームとして利用することができる。菱化システムでは、開発元同士が提携関係にある分子モデリングシステム「MOE」、データマイニングツール「KDE」との組み合わせで販売を行う。システム構築に時間や手間をかけず、高機能で使いやすい統合研究環境を実現できるというメリットがある。

 デイライト社は、アルファベットと数字を組み合わせた1行で分子構造を表現するSMILES表記法を特徴とするベンダーで、化合物検索のクエリー作成機能として拡張したSMARTS、化学反応表記のために拡張したSMIRKSといった技術を核に、化合物情報を高速で扱うことを得意分野としている。データ自体をオラクルに格納して管理するためのDAYCART技術で差別化しており、欧米では300社以上のユーザーに普及している。

 ただ、デイライト製品はすべてコンポーネント化されていて、ツールキットのかたちで提供されるため、柔軟ではあるが逆にアプリケーションの構築やメンテナンスのために手間がかかるのが弱点だった。そこで、菱化システムではMOEまたはKDEと統合したソリューションとして普及を図る作戦をとる。デイライト自体が、MOEを開発した加CCGおよびKDEの英インフォセンスとパートナー契約を結んでおり、それぞれのシステムにデイライトのツール群を簡単に組み込むことができるようになっているためだ。

 とくに、KDEはワークフロー型のデータマイニング統合ツールで、データ処理・解析機能を内蔵したノードと呼ばれるアイコンをつなぎ合わせることにより、解析のワークフローを簡単に作成し、実際のデータを流して実行させることが可能。対話的に試行錯誤しながら、複雑なデータ解析を行うことも容易だという。

 デイライト製品の各ツールをKDEのノードとしてワークフローに組み込むことができ、データベース内の大量の化合物データをフィンガープリントやファーマコフォア、ディスクリプターなどの観点で検索、絞り込みを行ったり、各レコードに対してデイライトのツールで物性計算した結果をデータベースに書き加えたりするなどの一連の処理を簡単に自動化することができる。

 また、MOEとの連携では、モデリングやシミュレーションを行う際のデータベースプラットホームとして利用することが可能。MOE自体にもデータベース機能はあるが、大量の化合物データを高速に扱う点ではデイライト製品のメリットを十分に生かすことができるという。

 こうした事例では、ユーザーがKDEまたはMOEを操作している背後で、自動的にデイライトのツール群が動作しているということになる。デイライトのツールキットだけでアプリケーションを一から構築するよりも、時間とコストを大幅に節約し、使いやすさと高機能を両立した研究環境を実現させられる。

 なお、デイライト製品に関しては、以前からサイバネットシステムも販売権を有しており、その関係に変化はない。菱化システムと並行してビジネスが継続される模様。