オラクルと日本ピープルソフトが合併・統合後の戦略公表

3社の製品ラインを維持・強化、来年から統合製品への移行視野に

 2005.04.20−米オラクルと日本ピープルソフトは19日、統合後の製品戦略などについて会見を開き、合併の進行状況や将来の統合製品の計画を明らかにした。今回の合併により、基幹業務パッケージベンダーであるオラクルとピープルソフト、JDエドワーズの3社が統合されたことになるが、引き続きそれぞれの製品を強化しながら、各製品の統合化を目指す“プロジェクトフュージョン”をこのほどスタートさせた。年内に詳しい構想を明らかにし、2006年にミドルウエアレベルで統合環境を固めたあと、2007年から具体的にアプリケーションの提供を開始していくという。

 米オラクルのアジア太平洋統括執行副社長であるデレク・H・ウイリアムズ氏が記者会見したもので、すでに米国と英国においては両社の統合プロセスが完了したと報告した。アジア太平洋地域では、合わせて26ヵ所のオフィスのうち、すでに6ヵ所が統合された。日本法人に関しては、日本オラクルが株式上場していることもあり、法的な手続きを進めているところ。米連邦取引委員会(FTC)の判断待ちで、日本法人同士の統合の形態や時期は明らかにできないという。ただ、当面は日本ピープルソフトは、米オラクルのアジア太平洋部門傘下に入り、日本オラクルとは独立して事業活動を行う。

 合併後の企業規模に関しては、ワールドワイドで社員が5万人、サポートスタッフが6,000人(オラクルから5,000人とピープルから1,000人)、開発者の総数は1万3,000人で、そのうちアプリケーション担当が8,000人(同様に5,000人と3,000人)となっている。ウイリアムズ執行副社長は、とくに開発とサポートに関して、旧ピープルのスタッフの90%の人員を確保できたことを強調した。

 ピープルおよびJDエドワーズ製品は少なくとも2013年までサポートを続ける方針。アップグレードパスを考慮して、JDエドワーズエンタープライズワン、ピープルソフトエンタープライズHCM、ピープルソフトエンタープライズFMS/SCMなどのサポート期間を1−2年間延長した。また、サポートレベルもオラクルを基準にしていままでよりも高い水準を実現する。例えば、日本ピープルは日本語では午前9時から午後6時、英語で24時間のサポート体制を敷いているが、日本オラクルは日本語でも24時間サポートを提供している。これも、できるだけ早く同じにしていく。

 製品面では、オラクル11i E−ビジネススイート、ピープルソフトエンタープライズ、JDエドワーズエンタープライズワン、JDエドワーズワールド−の4つの製品ラインを維持する。「これは、ユーザーの投資を保護することと、プロジェクトフュージョンへのステップという2つの意味がある」とウイリアムズ執行副社長。来年には、オラクル11iのE−ビジネススイートはリリース12に、ピープルソフトエンタープライズはリリース9に、JDエドワーズエンタープライズワンはリリース8.12にバージョンアップされ、この3製品がフュージョンへと移行できることになる。JDエドワーズワールドはエンタープライズワンへのアップグレードパスが用意されているため、それを介してのマイグレーションになるという。

 次世代統合製品のフュージョンに関しては、5月にかけてロードショーを実施するとともに、9月に開催する「オラクルオープンワールド」でアーキテクチャーについての説明を行う。2006年には、最初の製品としてデータハブやトランザクションベースなどのミドルウエア製品をそろえていく予定。2007年から個々のアプリケーションの提供をはじめ、2008年にはアプリケーションスイートとしての製品体系が整ってくるということだ。