米アクセルリス:マーク・エムケア社長兼CEOインタビュー

顧客第一主義で再び成長路線へ、製品開発・リリースを活発化

 2005.07.09−コンピューターケミストリーシステム(CCS)の最大手ベンダーであるアクセルリスが、今後の成長へ向けて新しい段階に進みつつある。昨年4月に創薬事業主体のファーマコピアから分離・独立し、CCS専業ベンダーとして再出発して1年が経過した。マーク・エムケア社長兼CEOは、「基本に戻って、しっかりとした開発の体制を再構築してきた。今後は顧客第一主義を徹底し、先進的な科学的理論に基づくソフト開発でリードするとともに、顧客の抱える問題を具体的に解決できるアプリケーションやサービス、コンサルティングの提供に力を入れる。これからのアクセルリスに期待してほしい」と述べる。

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 − 2005年度(2004年4月−2005年3月期)決算が発表になりました。成長という意味では、ここ数年の売り上げは横ばいかダウンでしたし、昨年度の数字をみても売り上げは12%減の6,960万ドル、損失は前年度の2,480万ドルからさらに増大して2,512万ドルとなっています。最近の業績はどうなのでしょうか。

 「2005年度は売り上げの計上基準を変更した影響がある。例えば、3月に1年間の契約がとれたとしても、その年度には12分の1しか計上していない。年度末の時点で、4,260万ドルの繰り延べ収入がある。利益面ではサイテジックを買収した影響が大きい。また、当社はNASDAQ市場において旧ファーマコピアの銘柄を引き継いでいるので、そのぶん売り上げが下がるのは仕方がない」

 「注目してほしいのは、4年ぶりに受注が伸びに転じたことだ。受注高は、前年度の7,600万ドルから12%増の8,520万ドルに伸びた。市場において、アクセルリス製品が競争力を高めていることの証明だと思う。無借金経営で財務的にも健全だし、あらためての成長への基盤ができたと考えている」

 − 新体制になって1年が経過しました。この間に取り組んできたことはなんですか。

 「基本に戻ることだ。コンソーシアム方式での新技術開発をきちんと進めるため、昨年7月からナノテクノロジーコンソーシアムを立ち上げた。また、先端ソフト開発で欠かせないアカデミックサークルとのコラボレーションもあらためて再出発させている」

 「とくに、最も重要視したのが顧客第一主義への転換だ。正直に言って、過去3年間はほとんどユーザーの声に耳を傾けることはなかった。いまはわれわれトップマネジメントが直接ユーザーと対話することを常に意識している。日本語での会話も重要だと思っており、例えばユーザー会においても、(外国人が)英語で話しまくるのではなく、日本法人のスタッフが日本語で説明するセッションを増やしていく」

 − この数年間は、新製品のリリースもあまり活発でなかったように思います。今後の開発戦略について教えてください。

 「これからはできるだけロードマップを明確にし、定期的な開発・リリースを行っていく。そのために研究開発投資のバランスも見直した。これまでは、80%以上が既存製品のフォローに占められており、新製品開発に向けての投資は20%以下だったが、今後は既存製品向けを65%、新製品開発で25%、新しい計算理論などの研究投資に10%といった比率に変えていく(写真参照)。パートナー製品や競合製品をも統合できるプラットホーム技術の強化がポイントになる」

 「ただ、われわれが勝手に製品づくりをするのではなく、ここでも顧客中心の考え方を基本にしたい。今後の開発に対する顧客の声を、フォーカスグループ型とユーザーグループ型の2つのやり方で集めている。いわば、顧客によってわれわれの行動が導かれているわけで、こうしたフィードバックはロードマップに直ちに反映させ、必要があれば速やかに修正することもいとわない」

 − 日本市場に対する考え方を聞かせてください。

 「日本市場、ひいてはアジア太平洋市場においても顧客第一主義は変わらない。顧客の声や要望をわれわれのビジネスの方向性に反映させていく。例えば、日本特有のニーズを製品開発やサービスに取り込んでいきたい。そのためには、日本法人への権限委譲も重要だと考えている。日本法人が顧客中心の活動を行えれば、そうしたニーズを取り込めるはずだ」

 − 今年のアクセルリスに期待してほしいことはなんでしょうか。

 「製品の開発・リリース面がいままで以上にアクティブになる。ケムインフォマティクス製品のAccord、ワークフロープラットホーム製品のパイプラインパイロットの最新版を提供開始したほか、年末にはディスカバリースタジオとマテリアルスタジオも大幅な機能強化が実現される。これまで辛抱してくださった顧客のみなさんに深く感謝したい。そして、これからのアクセルリスに期待してほしい」

 − ありがとうございました。