日立ソフトがマイクロウェルアレイチップ向け細胞解析スキャナー
抗原特異的リンパ球を高速・網羅的に検出、抗体医薬開発に寄与
2005.07.06−日立ソフトは4日、抗体医薬の開発に役立つマイクロウェルアレイチップ専用細胞解析スキャナーを製品化したと発表した。文部科学省知的クラスター創成事業「とやま医薬バイオクラスター」の産学官共同研究プロジェクトの成果の一部として開発したもので、将来的には総合的なシステムへと発展させていく。その第一弾である細胞解析スキャナーの価格は1,500万円。関連事業全体で年間10億円以上の売り上げを見込んでいる。
今回の研究開発は、文科省知的クラスター創成事業「とやま医薬バイオクラスター」の「超集積・高機能型チップデバイスの開発」、「免疫マイクロアレイシステムの開発」、「免疫機能を活用した診断・治療システムの開発」、「DNAチップ、細胞チップの実用化研究」などのプロジェクトの一環。
これらのプロジェクトを通して開発されたマイクロウェルアレイチップは、1センチメートル四方のチップに直径10マイクロメートルの穴(ウェル)を25万個形成し、ヒトの血液中のリンパ球を1つずつ配列できるようにしたもの。細胞の入ったウェルのアドレスが固定されているため、1個の細胞の刺激に対する反応を測定することが可能であり、また0.1−0.001%程度の低い頻度で存在する抗原特異的リンパ球を検出できるという特徴がある。このため、抗原抗体反応を利用した抗体医薬の開発を加速できると期待されるという。(この技術の詳細は http://www.scworld.co.jp/industry/index.html を参照)
今回の細胞スキャナーは、ウェル内に1個ずつ配置されたBリンパ球細胞が抗原によって活性化されるかどうかを網羅的かつ高速に検出することが可能。同社が得意とする蛍光検出技術および画像解析技術を応用している。マイクロウェルアレイチップをもとに抗体を開発するために設立されたベンチャー企業であるエスシーワールド(本社・富山市、末岡宗広社長、http://www.scworld.co.jp )と連携をとりながら今月から販売を開始する。
日立ソフトでは今後、細胞の抗原に対する応答状況をダイナミックにトレースできるスキャナーを十月に新発売するほか、マイクロウェルアレイチップ上へのリンパ球の分注システムなども開発・製品化していく。