NTTソフトウェアが次世代型ブラウザーを開発

ウェブコンテンツを三次元空間内に配置、特定用途向けに販売

 2005.08.16−NTTソフトウェアは、大量のビジュアル化された情報を三次元空間上に配置し、切り口や視点を変えて情報の理解を助けることができるようにする次世代ブラウザー技術「SpaceBrowser」(スペースブラウザー)を開発した。データマイニングのためのビジュアル化技術をインターネットに応用したイメージで、ウェブページのサムネール画像を三次元オブジェクトとして扱い、利用者が各種属性に基づいてダイナミックにそれらを再配置することが可能。同社では、用途を絞った専用システム向けにパッケージ化して販売する計画で、ホテルや博物館などに設置する情報キオスク向けや、使いやすさとユニークさで顧客にアピールしたいコマースサイト向け、さらには業務アプリケーションなどとの統合を実現できる企業向け複合ソリューション−といった用途での展開を図る。

 同社では、スペースブラウザーを、画像を含む大容量のリッチコンテンツを快適に扱える光・ブロードバンド時代の戦略商品として位置づけている。インターネットエクスプローラーのプラグインとして動作する高機能表示エンジンで、さまざまなウェブコンテンツを三次元空間上に配置できることが最大の特徴。

 表示パターンとしては、XYZ軸に属性を与えて三次元グラフ上にコンテンツをマッピングしたり、三次元モデル内の座標軸に任意に配置したり、規則的に一覧配置したりすることが可能。例えば、ワインの販売を行うコマースサイトにおいて、X軸に価格、Y軸に酸味、Z軸に香りを設定して商品を三次元に配列させることにより、消費者は「香りが良くて価格の安いもの」など、自分の好みの銘柄がビジュアル的に理解できるので、買い物がしやすくなる。各軸に与える属性はいくつでも設定しておけるので、消費者は自分が重視したい条件でダイナミックに表示を切り替えることが可能。

 また、別の表示パターンでは、美術館などの建物をモデリングしておき、各所蔵品のウェブコンテンツを実際の建物内の座標上に配置することができる。このシステムを導入しておけば、利用者は自分の見たい絵が何階のどこにあるのかなどをひと目で把握することができるというわけ。さらに、一覧表示のパターンでは、コンテンツを球状に配置してぐるぐる回したり、手前から奥に向かって視点を進めて多数のコンテンツをざっと見渡したりしていくなどの表現が可能である。

 スペースブラウザー向けのコンテンツ作成は、既存の素材とエクセルを使うだけで行える。具体的には、ワークシート上に、三次元画面を構成する表示内容や表示位置、大きさなどの要素を表形式に整理していく。操作のためのボタンやパネル、背景画像、埋め込みURLなども別に素材を用意しておいてエクセルに記述することができる。最終的にはXML形式のデータファイルが生成され、それを利用者側のスペースブラウザーで読み込むことにより、三次元空間的な閲覧が可能になるという仕組みである。

 実際の販売活動は、今年の10月から開始する。ソフト価格は、情報キオスク向けなどのスタンドアロン型パッケージが20万円から、コマースサイト向けなどのネットワークアクセス型パッケージが300万円から、企業向けのシステムインテグレーション型パッケージが1,000万円からとなっている。今年度下半期で3億円の販売を見込んでいる。