英PSEが日本支社を設立し直販体制に移行

ダイナミックシミュレーター普及へ、高度なコンサルティングを提供

 2005.08.23−プロセスシミュレーションベンダーの英プロセスシステムズエンタープライズ(PSE、コスタス・パンテリーデス代表取締役)が、横浜ビジネスパーク内に日本支社「ピーエスイー・ジャパン」を設立した。同社は、2000年から代理店を通して主力のプロセスシミュレーター「gPROMS」を販売し、10件ほどの導入実績をあげているが、今後は日本支社を中心とした直販体制に移行し、技術コンサルティングを重視した事業展開を進める。

 PSEは1997年設立で、ロンドンに本社を置いているが、売上比率は北米50%、欧州30%、日本20%。国別では日本が世界第2位の実績であるため、市場へのコミットメントの意味を込めて支社を設立した。欧米と同じレベルの技術サポート/コンサルティングを国内のユーザーにも提供できるようにすることが最大の目的となっている。

 同社のgPROMSは、プロセス設計からボトルネック検証、オンライン最適化運転、訓練用模擬装置まで幅広い用途に利用できるダイナミックシミュレーターで、モデル中心のプラントライフサイクル管理を実現できることが特徴。

 ただ、PSEジャパンは、汎用シミュレーターとしての単純な販売競争に参入する考えはなく、gPROMSでしか解けないような難しいモデル化の問題を扱うプロジェクトに取り組んでいきたいという。実際、一般のシミュレーターが集中定数系の問題を扱うのに対し、gPROMSは偏微分方程式(空間的・時間的広がりがある問題)をそのまま解くことができる分布定数系のシミュレーターであり、触媒反応や晶析などの複雑な物理化学反応のモデリングでも豊富な実績を持つ。

 また、オープン性も大きな特徴で、“gPROMS言語”で書かれたモデルのソースコードが開示されている。簡単なプログラミングの知識があれば容易に理解することができるため、モデルがブラックボックスにならず、修正や改良も簡単に行える。このソースの中からモデルを取り出してオブジェクトとしてエクスポートし、他のシミュレーターに組み込むことも可能。集中定数系シミュレーターの中で分布定数系モデルが利用できることになる。

 業界標準の“CAPE-OPEN”に対応しているため、幅広い化学工学アプリケーションとの連携も容易。とくに最近では、複雑な反応器内部での化学反応をともなう流動現象を解析するため、熱流体解析ソフトのFLUENTやSTAR-CDと組み合わされるケースが増えているという。

 なお、PSE社はERP/SCM系の問題に対応できる「モデルエンタープライズ」も開発し、アセットマネジメントや製品在庫量の削減・最適化などに適用させている。多機能なグラフィックインターフェースを標準装備した混合整数計画法(MIO)ソルバーを基盤にしたものだが、こちらも事業体制が整いしだい、国内で紹介していくことにしている。

 なお、日本支社の所在地は横浜市保土ヶ谷区神戸町134、横浜ビジネスパークウエストタワー11階。電話は045-348-6330、FAXが045-348-6332。東洋エンジニアリング(TEC)のケミカルエンジニアだった柏屋滋氏が、シニアコンサルタントとして支社の責任者を務めている。